はじめに|知る人ぞ知るファミコン末期の異色アクション
※記事内の画像は全てイメージです。実際の製品・写真とは異なります。
1991年、スーパーファミコンへの移行が急速に進む中で、ファミリーコンピュータ向けに発売された横スクロールアクション『たいむゾーン』をご存じでしょうか。シグマ商事から1991年10月25日に定価6,200円で発売された本作は、帽子を武器にブーメランのように投げながら時代をまたいで冒険するという、非常にユニークなシステムを持つタイトルです。
流通数が少なくマイナーな作品として長らく埋もれてきましたが、キャラクターデザインを手掛けたのが『水晶の龍』などで知られるアニメーター・佐藤元氏であることや、後に『Dの食卓』で一世を風靡したゲームクリエイター・飯野賢治氏が制作に携わっていたことが知られており、今日ではレトロゲームコレクターや往年のファミコンファンの間で再評価が進んでいます。
本記事では、発売日や仕様といった基本情報から、ゲームシステムの詳細、そして現在のコレクター事情まで、『たいむゾーン』のすべてを丁寧に解説いたします。
第1章|基本情報・スペック
まず、複数のデータベースおよびAmazon.co.jp等の販売記録で確認が取れている基本スペックを整理いたします。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイトル | たいむゾーン |
| 機種 | ファミリーコンピュータ(FC) |
| 発売日 | 1991年10月25日 |
| 発売元 | シグマ商事 |
| ジャンル | 横スクロールアクション |
| 定価 | 6,200円(税抜) |
| キャラクターデザイン | 佐藤元 |
タイトルの「たいむ」はひらがな表記が正式であり、「タイムゾーン」と片仮名で表記するのは誤りですのでご注意ください。
シグマ商事は1974年創立の老舗ゲーム企業で、アーケード業界での長い歴史を持ちます。ファミコン事業においては1989年に参入し、本作はシグマブランドへの改称後初となる作品として発売されました。1992年に事業から撤退しているため、ファミコン向けに残したソフト本数は非常に少なく、それが本作の希少性に繋がっています。
第2章|ストーリー|タイム博士にさらわれたはるかちゃんを救え
物語の舞台は、ごく普通の現代の街角から始まります。
帽子投げとスケボーが得意な少年「ケン」は、ある日いつものようにスケボーで隣に住む幼なじみの「はるかちゃん」と学校へ向かっていました。ところが空き地を通りかかると突然空から石が降り注ぎ、ケンの頭を直撃します。意識が朦朧とするケンの目の前で、「タイム博士」と名乗る老人がはるかちゃんを連れ去り、時空の穴の中へと消えてしまいました。
意識を取り戻したケンは、はるかちゃんを救うために決意を固め、タイム博士が消えた穴へと飛び込みます。こうして、6つの時代を巡る壮大な時間旅行の冒険が幕を開けます。
シンプルながらも「時空を超えて大切な人を救う」という王道の設定は、ファミコン世代のプレイヤーの心を掴む構成となっています。
第3章|ゲームシステムの詳細|帽子投げアクションとスケボーの組み合わせ
ブーメランのような帽子投げ
本作の最大の特徴が「帽子投げ」による攻撃です。ケンが頭に被っている帽子を前方に投げつけると、ブーメランのように一定距離を飛んでから戻ってきます。
さらに独特のテクニックとして、戻ってくる帽子をジャンプなどで上手く避けると、帽子がケンの周囲をグルグルと旋回するように軌道が変化します。この状態を応用することで、上空や後方の敵を倒すことができ、ゲームに深みを与えています。一方で、帽子を投げている最中は次の攻撃ができないため、タイミングの見極めが重要です。
スケートボードによる移動
ステージ内では、スケートボードに乗って進むことができます。強制スクロールではなく、プレイヤーが自分のペースで速度を調整しながら移動・ダッシュできるのが特徴です。スケボーを活かした素早い立ち回りが、本作の爽快感を生み出しています。
バラエティ豊かなステージ構成
各ワールドは単純な横スクロールアクションだけでなく、多彩な仕掛けが盛り込まれています。
足場を渡りながら進む「アスレチック面」のほか、問題に答えて先へ進む「クイズ面」も存在し、アクションが苦手なプレイヤーでもひと息つける場面が用意されています。また、各ラウンドの開始時には全体マップが表示され、現在の進行状況や目的地が一目でわかる構造になっているため、道に迷いにくい親切な設計です。
第4章|全6ワールド|時代をまたぐ壮大な舞台
『たいむゾーン』は、全6つのワールドで構成されています。各時代ごとに登場する敵キャラクターや背景グラフィックが大きく変化し、それぞれの時代の雰囲気が楽しめます。
ワールド1:現代 物語の始まりとなる現代の街が舞台。馴染みやすい環境の中でゲームの基本操作を覚えることができます。
ワールド2:恐竜時代 太古の世界を舞台に、恐竜たちが行く手を阻みます。ダイナミックな背景と個性的な敵キャラクターが特徴的なステージです。
ワールド3:西部開拓時代 アメリカン・ウエスタン風の荒野が舞台。西部劇特有の雰囲気を持つ敵が登場します。
ワールド4:戦国時代 日本の戦国時代を舞台にしたステージ。和風の背景と武者風の敵が登場し、独特の世界観が楽しめます。
ワールド5:未来 SF的な未来世界が舞台。UFOなど近未来的な敵が登場します。
ワールド6:異次元 最終ステージとなる異次元の世界。タイム博士との決着をつける舞台です。
現代から始まり、恐竜時代・西部・戦国・未来・異次元へと続くこのステージ構成は、「タイムトラベル」というテーマを存分に活かしたものとなっており、各時代の個性的なビジュアルが飽きさせない工夫となっています。
第5章|注目のスタッフ|佐藤元氏と飯野賢治氏の関与
キャラクターデザイン:佐藤元氏
本作のキャラクターデザインを担当したのは、アニメーター・漫画家の佐藤元氏(1960年生まれ)です。佐藤氏はスクウェアのファミコンディスクシステム用ソフト『水晶の龍』への参加や、OVA版『機動戦士SDガンダム』の監督・キャラクターデザインで知られる人物です。その後も『おジャ魔女どれみ』や『プリキュア』シリーズの原画として活躍し、幅広い世代のアニメ作品に携わってきました。
Wikipediaをはじめとする複数のソースで、佐藤元氏のゲーム参加作品として『たいむゾーン(キャラクターデザイン/ファミリーコンピュータ)-シグマ商事』と明記されています。ケンやはるかちゃんのパッケージイラストには、SDガンダム系作品に共通するような丸みのある愛らしいデザインの特徴が見て取れます。
制作関与:飯野賢治氏
複数の資料に、後に『Dの食卓』(1995年)や『エネミー・ゼロ』などで一世を風靡したゲームクリエイター・飯野賢治氏が、本作の制作に関わっていたことが記されています。飯野氏はその後「デジタルドリームス」を設立し、個性的なゲーム作品を世に送り出しましたが、『たいむゾーン』はそのキャリア形成期における作品の一つに当たります。
第6章|発売当時の背景|ファミコン末期という厳しい時代
本作が発売された1991年10月は、ファミコン市場として非常に難しい時期でした。1990年11月にスーパーファミコンが発売されており、ゲーム市場の主役は急速に新世代機へと移行していた頃です。
そのような状況の中でファミコン向けに発売された本作は、流通数が少なく、大手メーカーの新作ソフトに埋もれがちで、一般的な認知度はほとんど広がりませんでした。ファミコン後期に多く見られた「マイナーソフト」の一つとして、長らく知られる機会のなかった作品です。
定価6,200円という価格設定は当時のファミコンソフトの中でも高めの部類に入りますが、これもスーパーファミコン移行期という時代背景を反映しているものと考えられます。
第7章|ゲームとしての評価|オリジナリティとオマージュの間
本作はシステム面において個性的な要素を持ちながらも、随所に当時の人気アクションゲームを参考にしたと思われる要素が見受けられます。マップ画面を採用したステージ構成は『スーパーマリオブラザーズ3』を、帽子投げのアクションは『高橋名人の冒険島』系の道具投げアクションを、そしてクイズ面は『ワギャンランド』シリーズを意識したとも解釈できます。
こうした先行作品の影響が色濃く出ている点については、当時からレビューなどで指摘されており、オリジナリティの評価が分かれるところです。一方で、帽子の軌道が旋回するユニークなテクニックや、6つの時代を舞台にした壮大なスケール感は、本作ならではの魅力として評価されています。
操作性については、ダッシュ時の速度や慣性の調整が難しいとの声もありますが、一発クリアのみで即死ではなくコンティニューが無限に設定されている点は、当時のアクションゲームとしてはプレイヤーに親切な仕様といえます。
第8章|レトロゲームとしての現在の価値
流通数が少なかった本作は、現在のレトロゲーム市場において比較的希少性の高いタイトルとして扱われています。駿河屋などの買取・販売サイトでは「プレミア価格」と表記されており、箱・説明書付きの完品ともなると入手が難しい状況です。
特に佐藤元氏のサイン入りパッケージが存在することも一部で知られており、コレクターアイテムとしての価値も生まれています。飯野賢治氏の関与という側面からも、ゲーム史のコレクションとして注目するファンが一定数います。
ファミコンソフトの蒐集を続けているコレクターの方にとっては、ぜひ押さえておきたい一本といえるでしょう。
まとめ|埋もれていた個性派アクションを今こそ振り返る
『たいむゾーン』は、1991年10月25日にシグマ商事からファミリーコンピュータ向けに発売された横スクロールアクションゲームです。帽子投げとスケートボードを組み合わせた独自のアクション、6つの時代をまたぐ壮大なステージ構成、そして佐藤元氏によるキャラクターデザインと飯野賢治氏の制作参加という豪華なスタッフ陣など、マイナータイトルながら多くの見どころを持っています。
ファミコン末期という難しい時代に、埋もれるようにして世に出た本作ですが、改めて振り返ってみると、時代への向き合い方や独自のシステムへの挑戦など、当時の開発者の意欲が伝わってくる一本です。レトロゲームファンの方はもちろん、ゲーム史に興味のある方にとっても、探してみる価値のある作品です。
本記事に記載の発売日・価格・スタッフ情報は、ピコピコ大百科、ファミコンゲームカタログ、Amazon.co.jp商品情報、Wikipedia(佐藤元の項目)、およびピクシブ百科事典(シグマ商事の項目)に基づいております。
(出典 Youtube)
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