デビルワールド【ファミコン】徹底解説|1984年発売・宮本茂さん監修の強制スクロール迷路アクション、北米未発売の理由とは

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はじめに|パックマンを超えた発想——「画面そのものが押し寄せてくる」衝撃

※記事内の画像は全てイメージです。実際の製品・写真とは異なります。

1984年10月5日、任天堂からファミリーコンピュータ向けに定価4,500円で発売された『デビルワールド』は、宮本茂さんがプロデューサー・ディレクターを務め、手塚卓志さんがアシスタントディレクターを担当、音楽は中塚章人さんと近藤浩治さんが手がけた、任天堂黎明期の異色の傑作アクションゲームです。

主人公のタマゴ怪獣「タマゴン」を操り、迷路状のステージでドットを集めたりバイブルをデビルホールに運んだりしながら進む「ドットイート型」のゲームです。しかし本作の最大の個性は、それだけにとどまりません。画面上部に控えるデビルが指さした方向へ、背景そのものがスクロールして迫ってくる——その壁に挟まれたら即ミスというスリルが、当時のプレイヤーを「こんなゲームは見たことがない!」と驚かせました。

2人同時プレイ対応、3ラウンドで1セット構成、宗教的モチーフを理由とした北米未発売という経緯——さらには2023年10月31日についにNintendo Switch Onlineでも配信開始となり、40年の時を経て現代のプレイヤーも手軽に楽しめるようになった本作について、基本情報からゲームシステム・開発の背景・評価まで詳しく解説いたします。


第1章|基本情報・スペック

複数の公的ソースで確認した基本スペックは以下の通りです。

項目詳細
タイトルデビルワールド(Devil World)
機種ファミリーコンピュータ(FC)
発売日1984年10月5日
発売元任天堂
開発元任天堂(情報開発本部・岩崎技研工業)
ジャンルアクション(ドットイート型)
定価4,500円
プレイ人数1〜2人(2人同時プレイ可能)
権利表記©1984 任天堂

スタッフ

  • プロデューサー・ディレクター:宮本茂さん
  • アシスタントディレクター:手塚卓志さん
  • プログラム:湯上裕之さん
  • 音楽:中塚章人さん、近藤浩治さん

なお、1984年の発売当時、任天堂はファミコン用ソフトの販売価格をそれまでの一律3,800円から4,500円へと引き上げています。そのため本作には価格表記の異なる2つのバージョンのパッケージが存在しますが、ゲームの内容自体は両バージョンとも同一です。


第2章|ストーリー|デビルワールドに迷い込んだタマゴン

デビルワールドに迷い込んだタマゴ怪獣のタマゴン。悪の大ボスである「デビル」が支配するこの迷宮から脱出するため、デビルやメダマン、子デビル、ボンボンといった悪の一党に立ち向かいながら、各ステージのクリアを目指します。

ステージを制覇するごとに、デビルは小さなコウモリに変身して次の迷路へと逃げ去り、いたちごっこのように追いかけっこが続いていきます。ゲームはループ型で終わりなく続き、ラウンドが進むにつれて難易度が増していくスコアアタック型の構造となっています。


第3章|本作最大の特徴|強制スクロールという革新

本作の最大の個性は、「デビルが画面のスクロールを操る」という独自のゲームメカニクスにあります。

ステージ画面の上部に陣取るデビルは、画面下のメダマン2匹にジェスチャーで指示を出します。その指示に従って、ステージ全体が上下左右のいずれかの方向にスクロールを開始するのです。

迷路そのものは上下左右にループしており、実質1画面分の広さしかありません。しかしこの強制スクロールによって、画面の端と迷路内の壁の間に挟まれてしまうと即ミス。スクロール速度はラウンドが進むほど上昇し、ギリギリまでドットを集めようとして挟まれる——という緊張と欲のせめぎ合いが、本作ならではの興奮を生み出しています。

「このようなスクロール方向が目まぐるしく変化するゲームは、ファミコンだけでなくアーケードゲームでも過去に体験した記憶がない」と評されたほど、当時としては完全に新しい発想でした。上下スクロール中に流れる心臓の鼓動を想起させる効果音、左右スクロール中のローラー回転音という演出も、スリルを高める重要な役割を担っています。


第4章|ゲームシステム詳細|3つの場面で1セット構成

本作は「場面1・場面2・ボーナス面」の3つで1ラウンドが構成されており、迷路のパターンが3種類あるため計9面で1ループとなります。

場面1|ドットイート面

ステージ上に散らばるドット「ボワボワ」をすべて食べることがクリア条件です。ただしボワボワは素手では取れず、ステージ内にある「十字架」を拾っている間だけ、タマゴンは口から炎を吐いてドットを消すことができます。

十字架を持っている状態では、敵のメダマンやボンボンに炎を当てて「目玉焼き」に変えることもできます。目玉焼きにした敵を食べると得点になり、一時的にステージから消し去ることができます(時間が経つと復活します)。画面上に現れてステージ周囲をくるくると回るソフトクリームを取るとボーナス得点が加算されます。

場面2|バイブル封印面

ステージ四隅に配置された「バイブル」を1冊ずつ拾い、ステージ中央のデビルホール(4か所)にすべて収めることがクリア条件です。バイブルを持っている間は十字架と同様に炎を吐けますが、デビルホールに収めた瞬間に手放すことになります。

「バイブルがないと攻撃できないが、バイブルを手放さないとクリアできない」というこの絶妙な緊張感が、場面2の醍醐味です。4冊すべてを収めると、デビルがコウモリに変身して逃走し、ステージクリアとなります。

ボーナス面

敵もデビルもいない安全地帯です。「?」ボックスが6つ配置されており、その中の1つに1UP(卵)が隠されています。1UPは必ず四隅のいずれかに入っているため、スコアを狙わない場合は中央の2つはスルーするのが効率的です。壁に挟まれてミスになっても残機が減らない仕様のため、スクロール操作の練習場としても機能します。

タマゴンの操作特性

タマゴンは一度歩き出すと壁に当たるまで自動的に進み続けます。立ち止まるためにはAまたはBボタンを押す必要があります(十字架やバイブルを持っていないときはその場で足踏みします)。この半自動移動という設計が、スクロールとの位置取り計算に独特の戦略性を生み出しています。

2人同時プレイの独自性

1Pのタマゴンは緑色、2Pは赤色。2人でプレイする際は協力しながら進めることも、互いの炎で動きを止め合うことも可能です。2人のタマゴン同士はすれ違いができないため、狭い通路での連携や妨害が発生し、1人では味わえない「わちゃわちゃ」とした盛り上がりが生まれます。


第5章|登場キャラクター

タマゴン:主人公のタマゴ怪獣。卵から誕生した子供の怪獣で、十字架やバイブルを持つことで炎を吐けるようになります。

デビル:本作の「ラスボス」的存在でありながら、プレイヤーが直接戦うことはできません。画面上部に陣取り、メダマンに指示を出してステージをスクロールさせます。各場面でバイブルの封印が完成するとコウモリに変身して逃走します。なお、後年の「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズにアシストフィギュアとして登場しており、本作に初めて触れるプレイヤーの中にはスマブラ経由でこのキャラクターを知った方も多いでしょう。

メダマン:ピンク色の体に大きな一つ目が付いた魔物。タマゴンを追いかける役と、ローラーを操作してステージをスクロールさせる役の2タイプがいます。炎で目玉焼きにできます。

子デビル:ステージ2から登場する小型の悪魔。メダマンより動きが敏捷で、目玉焼きから復活するまでの時間が非常に短いため厄介な存在です。炎で倒すことはできませんが、移動方向を変えることができます。

ボンボン:茶色の体に大きな一つ目が付いた魔物。メダマンより動きが敏捷で、復活も早いです。ラウンド7から登場します。


第6章|北米未発売という歴史的事情

本作はヨーロッパでは1987年6月24日に発売され好評を得ましたが、北米(アメリカ)では発売されませんでした。

理由は、本作に登場する「十字架」「バイブル(聖書)」というキリスト教の宗教的シンボルが、任天堂オブアメリカの当時のガイドライン(宗教的表現の規制)に抵触したためです。「このゲームは任天堂が唯一北米でリリースしなかったタイトルである」という言葉があるほど、本作の北米未発売は任天堂の歴史においてユニークなエピソードとして語られています。

なお、イギリス版ではデビルの名前が「Demon(デモン)」に変更されています。そして北米でデビルが初めて登場した任天堂製品は、2008年の「大乱闘スマッシュブラザーズX」でのアシストフィギュアとなりました。


第7章|各プラットフォームへの展開と現在のプレイ環境

本作は長らく日本とヨーロッパのプレイヤーだけが楽しめる作品でしたが、バーチャルコンソールの普及により世界的にプレイできる環境が整いました。

Wiiバーチャルコンソール・3DSバーチャルコンソール・Wii Uバーチャルコンソールでの配信を経て、2023年10月31日についに「Nintendo Switch Online(ファミリーコンピュータ)」への追加配信が実現しました。Nintendo Switch Onlineに加入していれば、現在は無料でプレイできる環境が整っています。

また2004年1月7日には、サイトロン・デジタルコンテンツより発売されたCDに、本作のサウンドトラックが収録されています。


第8章|評価と遊びやすさ

ゲームの評価については、「フィールドのスクロールという概念を組み込んだドットイートアクションとして既存のジャンルに新しい味付けを施しており、当時の基準としてはそこそこ良く作られた佳作」という意見があります。

一方で「ステージが実質2面しかない(ドットイート面とバイブル面)」「無限ループ型でエンディングがない」という点から、現代の視点では物量的な少なさを感じる方もいるでしょう。

とはいえ「2人同時プレイでのわちゃわちゃ感」「強制スクロールによる独自の緊張感」「攻守が逆転する十字架・バイブルの取得タイミング」という要素は40年後の今でも新鮮に楽しめるものがあります。ラウンドが進むにつれて迷路の背景が不気味な色彩に変化する演出も、本作のスリルをさらに高める効果的な工夫です。


まとめ|宮本茂さんが1984年に作り上げた、強制スクロール迷路の異色傑作

『デビルワールド』は、1984年10月5日に任天堂からファミリーコンピュータ向けに定価4,500円で発売されたアクションゲームです。宮本茂さんのプロデュース・ディレクションのもと、近藤浩治さんらのサウンドチームが音楽を担当した任天堂黎明期の作品として、ドットイートというジャンルに「デビルによる強制スクロール」という独自の発明を加えた意欲作です。

1ラウンド3つの場面構成・2人同時プレイ・十字架とバイブルを使った攻撃システム・宗教モチーフによる北米未発売という歴史——さまざまな意味で個性に満ちた本作は、2023年にNintendo Switch Onlineで配信開始となり、40年の時を越えて現代でも楽しめる作品となっています。「デビル」が「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズのアシストフィギュアを経由して初めてその名を知った方も、ぜひこの機会に原点となる本作に触れてみてください。


(出典 Youtube)


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