はじめに|女神転生IIがシリーズの「型」を作った
※記事内の画像は全てイメージです。実際の製品・写真とは異なります。
1990年4月6日、ナムコからファミリーコンピュータ向けに定価7,800円(税抜)で発売された『デジタル・デビル物語 女神転生II』は、「女神転生シリーズ」の第2作目であり、後のシリーズが踏襲し続けることになる「東京を舞台に、ロウとカオスの陣営が争う世界で悪魔と戦う」という方向性を確立した記念碑的な作品です。
発売当時は同年同時期に発売された『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』(エニックス・1990年2月11日)、『ウィザードリィIII』(アスキー・1990年3月9日)、『ファイナルファンタジーIII』(スクウェア・1990年4月27日)とともに「4大RPG」と称されるなど、その時代を代表するタイトルのひとつとして数えられました。
本作の重要性はシステム面にも及びます。悪魔絵師として後に世界的に知られる金子一馬さんがシリーズに初めて参加したのが本作であり、シリーズおなじみのキャラクター「ジャックフロスト」が初登場したのも本作です。セーブ機能の搭載・3身合体・オートパイロット・マルチエンディングといった新要素を詰め込み、前作からの大幅な進化を遂げた本作について、本記事では基本情報・ストーリー・ゲームシステム・評価まで詳しく解説いたします。
第1章|基本情報・スペック
複数の公的ソースで確認した基本スペックは以下の通りです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイトル | デジタル・デビル物語 女神転生II |
| 読み | デジタル・デビル・ストーリー めがみてんせい2 |
| 機種 | ファミリーコンピュータ(FC) |
| 発売日 | 1990年4月6日 |
| 発売元 | ナムコ |
| 開発元 | アトラス |
| ジャンル | ロールプレイングゲーム(RPG) |
| 定価 | 7,800円(税抜) |
| シリーズ | ナムコット ファミリーコンピュータゲームシリーズ第67弾 |
| プレイ人数 | 1人 |
| 権利表記 | ©1987 1990 NAMCO LTD. |
前作(1987年)の定価が4,900円だったのに対し、本作は7,800円と大幅に価格が上がっています。これはゲーム内容の充実と容量の増大を反映したものといえます。
第2章|シリーズ初の完全オリジナルストーリー
前作『デジタル・デビル物語 女神転生』は、西谷史先生が著した小説『デジタル・デビル・ストーリー』シリーズを原作とした作品でしたが、本作はシリーズ初の完全ゲームオリジナルストーリーです。原作小説の設定を離れ、アトラスが自ら構築したポストアポカリプス的な世界観を舞台に展開します。
ストーリーの舞台は2036年。20世紀末に発生した最終戦争によって崩壊してしまった東京。地上には狂人や次元の裂け目から現れた悪魔たちが跋扈し、生き残った人々は明日をも知れぬ日々を送っていました。
平和な「京浜第3シェルター」に暮らす主人公と親友は、ある日「デビルバスター」という体感RPGを手に入れます。二人が夢中になってクリアしたとき、コンピューターからパズスと名乗る悪魔が現れ、主人公には悪魔召喚プログラムを、親友には魔法の力を与えます。しかし同時に、ネットワークを通じて悪魔がシェルターへ侵入。意を決した二人は東京を支配する魔王バエルを倒すために、悪魔が跋扈する地上へと踏み出します。
なお「デビルバスター」は前作ファミコン版の舞台「ダイダロスの塔」を題材としており、BGMも前作と同じものが使用されているという粋な演出が施されています。
物語の途中、東京タワーで「魔女」と呼ばれる少女から、パズスは野心のために二人を利用しているに過ぎないと聞いた主人公は、彼女と行動することを決意し、親友とは決別します。その後、親友は外見が変わりダークヒーロー的な存在へと変貌していきます。
第3章|ゲームシステム詳細|前作からの大幅進化
セーブ機能の搭載
前作はパスワードコンティニュー方式を採用していましたが、本作からバッテリーバックアップによるセーブ機能が搭載されました。この改善により、長時間のプレイが要求される3DダンジョンRPGとして大幅に遊びやすくなっています。
武器にガンが追加
前作では剣・刀・槍といった近接武器が中心でしたが、本作では武器の種類にガン(銃器)が追加されました。これにより戦闘スタイルの選択肢が広がり、戦略性が向上しています。
悪魔の3身合体
前作の2体合体から発展し、本作では3体の悪魔を同時に合体させる「3身合体」が可能になりました。より強力な悪魔を生み出す組み合わせの幅が広がり、邪教の館でのやり込み要素がさらに深まっています。
オートパイロット機能
3Dダンジョンが苦手なプレイヤーへの配慮として、セットしたポイントへ自動的に戻れる「オートパイロット」機能が搭載されました。前作でも評価されたマッパー機能に加え、この機能により迷宮探索の負担が軽減されています。
マルチエンディング
本作にはマルチエンディングが採用されています。物語の中盤、魔王バエルにとどめを刺すかどうかという選択肢でストーリーが分岐します。とどめを刺さなかった場合は物語の真実が明らかになり、真のラスボスと対決できる展開へと進みます。このラスボスの正体は今も語り草になるほど衝撃的な存在です。魔王バエルにとどめを刺した場合はバッドエンドに近い形で幕を閉じます。
メシア教とディーバ教の対立
本作には「救世主の降臨を説くメシア教」と「悪魔との共存を望むディーバ教」が登場し、対立する構図が描かれています。この宗教対立の要素は後のシリーズで重要なテーマとなっており、「ロウ(法)とカオス(混沌)の陣営の対立」という女神転生シリーズを貫く軸の原型がここに確認できます。
第4章|金子一馬さんとジャックフロストの初登場
本作の大きなトピックのひとつが、のちに「悪魔絵師」として世界的に知られるデザイナー・金子一馬さんがシリーズに初めて参加したことです。ファッションデザインを取り入れた前衛的なデザイン、無駄をそぎ落としたスタイリッシュなシルエットで描かれた悪魔たちは、前作とは異なる鮮烈な個性を放ちました。
また、女神転生シリーズを代表するキャラクターとして長年愛されてきた「ジャックフロスト」が初登場したのも本作です。ただし初登場時のデザインは現在とは異なり、頭に山高帽を被ってマフラーを巻き、手にパラソルを持つというスタイルでした。現在親しまれているデザインと「ヒーホー」という口癖が定着したのは次作『真・女神転生』からとなります。
なお本作には、剣での攻撃を反射する邪鬼「ギリメカラ」も初登場しています。ただし初登場時には誤植により「ギリメカテ」という名前で登場しており、反射ダメージも現在よりはるかに小さいものでした。強力な反射能力でプレイヤーを苦しめるようになったのは次作からです。
第5章|「4大RPG」の一角という歴史的位置づけ
本作が発売された1990年は、日本のファミコンRPG史において特別な年でした。前後の時期に発売された4本の名作RPGが「4大RPG」と呼ばれていたためです。
| タイトル | 発売日 | 発売元 |
|---|---|---|
| ドラゴンクエストIV 導かれし者たち | 1990年2月11日 | エニックス |
| ウィザードリィIII | 1990年3月9日 | アスキー |
| デジタル・デビル物語 女神転生II(本作) | 1990年4月6日 | ナムコ |
| ファイナルファンタジーIII | 1990年4月27日 | スクウェア |
これほどの名作タイトルが短期間に集中したことは、ファミコンRPG史における1990年の奇跡的な充実ぶりを物語っています。その中で女神転生IIが肩を並べたという事実は、本作のゲームとしての質の高さを雄弁に示しています。
第6章|ファミコン版評価とベストヒットゲーム大賞
ゲーム誌「ファミコン通信」のクロスレビューでは8・8・9・8の合計33点(満40点)を獲得し、ゴールド殿堂入りを果たしています。前作のシルバー殿堂入り(31点)からさらなる評価の向上が見られます。
同誌の「’90ベストヒットゲーム大賞」では読者支持で8位にランクインしたほか、ジャンル別大賞でRPG賞を受賞しています。前述の「4大RPG」という強力な競合が揃った中でのこの受賞は、本作の完成度の高さを示す証左といえます。
一部のレビュアーから描画速度の遅さが指摘されましたが、魔獣合成の強化・オートパイロット等の快適性向上・ゲーム性の大幅向上については軒並み高い評価を受けており、前作からの正当な進化として広く認められました。
第7章|都市伝説「すぐにけせ」の真相
女神転生シリーズをめぐる有名な都市伝説として「『真・女神転生』のとある条件でゲーム中に『すぐにけせ』というメッセージが表示される」というものが長年語り継がれてきました。
この都市伝説の真相として、開発スタッフの鈴木一也さんが後年公表したのは「『すぐにけせ』と表示されるプログラムを実際に仕込んだのは事実だが、それは『真・女神転生』ではなく本作『女神転生II』のことであり、さらに発売直前にその要素はごっそり削除されていた」というものでした。削除を知っていたスタッフが外部へ漏らし、伝聞を繰り返すうちに次作の話として変形した可能性があると、鈴木さん自身が分析しています。
第8章|旧約・女神転生と現在のプレイ環境
旧約・女神転生(スーパーファミコン・1995年)
1995年3月31日、本作と前作『デジタル・デビル物語 女神転生』の2部作をリメイク・カップリングした『旧約・女神転生』がスーパーファミコン用ソフトとしてアトラスから発売されました。これにより両作をリメイクされた形でプレイできる環境が提供されました。
現在の入手状況
現時点では本作をNintendo Switch等の現行機でプレイできるデジタル配信は行われていないため、オリジナルのファミコン版でプレイするには実機とカートリッジが必要です(旧約・女神転生としてのリメイク版も含めると、2006年には携帯アプリ版も発売されています)。中古市場ではソフト単体から箱・説明書付き完品まで流通しており、入手は可能な状態です。
まとめ|シリーズの「型」を作り上げた、1990年を代表するファミコンRPG
『デジタル・デビル物語 女神転生II』は、1990年4月6日にナムコからファミリーコンピュータ向けに定価7,800円(税抜)で発売されたRPGです。アトラスが開発し、岡田耕始さんが企画した本作は、シリーズ初の完全オリジナルストーリー、崩壊した近未来東京という舞台、セーブ機能・3身合体・オートパイロット・マルチエンディングという新システム、金子一馬さんの参加、ジャックフロストの初登場など、後のシリーズのすべての基礎を確立した傑作です。
ファミコン通信クロスレビューでゴールド殿堂入りを果たし、’90ベストヒットゲーム大賞RPG賞を受賞したことは、当時の「4大RPG」という激戦の中でも本作が真に実力で評価された証明です。「東京を舞台に、宗教対立の中で悪魔と戦う」という現在の女神転生シリーズが持つ特徴が、すべてここから始まっています。ぜひ旧約・女神転生等を通じて体験してみてください。
本記事に記載の発売日・価格・ゲームシステム・スタッフ情報・評価情報は、複数の信頼できる情報源に基づいて執筆しております。
(出典 Youtube)
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