はじめに|『真・女神転生』と『ペルソナ』の始まりはここにあった
※記事内の画像は全てイメージです。実際の製品・写真とは異なります。
1987年9月11日、ナムコからファミリーコンピュータ向けに定価4,900円で発売された『デジタル・デビル物語 女神転生』は、現在も続く「女神転生シリーズ」の記念すべき第1作目です。
「悪魔を仲間(仲魔)にする」「悪魔同士を合体させてより強い悪魔を生み出す悪魔合体」——今日のシリーズでも核となるこれらのシステムが、すでに第1作から搭載されていたという事実は、その先見の明の高さを物語っています。
開発を担当したのはアトラス(発売当時は非公表)。後に「女神転生シリーズ」のディレクター・プロデューサーとして知られる岡田耕始さんが企画に携わり、ナムコがパブリッシャーとして発売した本作は、ファミコン通信のクロスレビューで31点・シルバー殿堂入りを果たすなど高い評価を獲得しました。ロックサウンドの採用や3Dダンジョン探索など、当時のRPGとしては革新的な要素を詰め込んだ本作について、本記事では基本情報・原作・開発の経緯・ゲームシステム・評価まで詳しく解説いたします。
第1章|基本情報・スペック
複数の公的ソースで確認した基本スペックは以下の通りです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイトル | デジタル・デビル物語 女神転生 |
| 読み | デジタル・デビル・ストーリー めがみてんせい |
| 機種 | ファミリーコンピュータ(FC) |
| 発売日 | 1987年9月11日 |
| 発売元 | ナムコ |
| 開発元 | アトラス(発売当時は非公表) |
| ジャンル | ロールプレイングゲーム(RPG) |
| 定価 | 4,900円 |
| シリーズ | ナムコット ファミリーコンピュータゲームシリーズ第29弾 |
| プレイ人数 | 1人 |
本作の発売当時、パッケージの権利表記は「©1987 西谷 史/(株)徳間書店/ムービック/シップス/NAMCO.LTD.」となっており、開発元のアトラスの名前は表記されていませんでした。後年、Nintendo Switchの「ナムコットコレクション」版では「©1987 ATLUS/TOKUMA SHOTEN/MOVIC/BNEI」と表記が変更されています。
スタッフ陣について確認できる情報は以下の通りです。
- 企画:岡田耕始さん
- 音楽・作曲・編曲:増子司さん(Project SATANが演奏)
- パッケージイラスト:北爪宏幸さん(アニメーター)
- 説明書イラスト:江崎稔さん
第2章|原作小説と開発の経緯|アトラス誕生と岡田耕始さんの念願
本作の原作は、西谷史先生が著し1986年に徳間書店アニメージュ文庫から発刊されたライトノベル『デジタル・デビル・ストーリー 女神転生』です。同小説のメディアミックスプロジェクトの一環としてゲーム化が実現しました。
ゲームの企画を担当した岡田耕始さんは、当時アトラスの立ち上げに関わったメンバーのひとりです。テーカン在職時から念願であったRPG制作の夢を、本作でついに実現させました。「『Wizardry』や『Ultima』のようなRPGを目指した」という岡田さんの言葉が示すように、欧米のハードコアRPGへの強い憧れがシステム設計の根底にあります。
一方でナムコは発売当時、本作の開発元であるアトラスの存在を公表しておらず、外部からはナムコが自社開発したゲームとして認知されていました。後年、このゲームが日本RPG史に残る「メガテンシリーズ」の原点として確立されてから、アトラスの名が広く知られるようになりました。
なお、ファミコン版より先にパソコン向けの「デジタル・デビル物語 女神転生」が日本テレネットから発売されていますが、そちらはアクションロールプレイングゲームであり、RPGとして発売されたファミコン版とはゲームジャンルが異なります。
第3章|ストーリー|飛鳥の大魔宮へ——中島と弓子の冒険
本作のストーリーは、原作小説を踏まえながらも独自の展開を持ちます。ファミコン版は原作の第2巻「魔都の戦士」の続編であり、第3巻「転生の終焉」のパラレルワールドにあたるオリジナル色の強い内容となっています。
主人公は、「悪魔召喚プログラム」を作り上げた天才プログラマーの中島朱実。パートナーは、イザナミ神の転生した姿である白鷺弓子。ふたりは6つのエリアで構成された「飛鳥の大魔宮デビルポリス」を探索しながら、各エリアを支配する「魔王」を次々と倒していきます。最終的には、女神「イザナミ」を囚えて人の世の支配を目論む闇の大魔王「ルシファー」討伐を目指します。
コンピュータを使って悪魔を召喚するという、ハイテクと神話が融合した独特の世界観は、当時のRPGにはなかったものでした。
第4章|ゲームシステム詳細|シリーズの原点となった革新的なシステム群
悪魔を仲魔にする交渉システム
本作最大の特徴が「敵悪魔を仲間(仲魔)にする」システムです。戦闘中に悪魔に話しかけ、要求に応えたりお金を渡したりすることで仲魔にする交渉の過程は、悪魔の種類によって異なり、プレイヤーに試行錯誤の楽しさをもたらします。
世界各地の伝承・神話・宗教に登場する妖精・魔物・神といった多種多様な悪魔が登場し、それらを仲魔として引き連れながら冒険できるという発想は、当時のゲーム界では革新的でした。
悪魔合体システム
さらに画期的だったのが「悪魔合体」システムです。2体の仲魔を「邪教の館」で合体させることで、より強い悪魔を生み出すことができます。ただし組み合わせによっては弱い悪魔が生まれることもあるため、どの悪魔同士を合体させるかという戦略が攻略の鍵となります。
ファミ通のクロスレビューでも「悪魔を仲間に引き入れ、さらにはその悪魔同士を合成させてより強い悪魔を仲間にするという発想は、はっきりいって新しい」と評価されており、時代に先駆けたシステムとして認知されていました。
3Dダンジョン探索とマッパー魔法
本作の探索はウィザードリィに影響を受けた3Dダンジョン形式で行われます。「マッパー」という魔法を使うと、周囲の様子が2Dマップとしてウィンドウに表示されるという、探索を補助するシステムも用意されていました。ファミマガのオールカタログでも「3Dダンジョンというのは迷いやすいものだが、マッパーという魔法で周囲が2Dマップで表示されるという便利な機能が付いている」と肯定的に評価されています。
AUTO機能
本作には戦闘をオートで進める「AUTO機能」が搭載されており、これも当時としては先進的な機能として記録されています。後にAUTO機能が様々なRPGで採用されていくことを考えると、本作の先見性の高さが改めて感じられます。
第5章|音楽|ファミコンに持ち込まれたロックサウンド
本作の音楽面でも革命が起きていました。作曲・編曲を担当したのは増子司さん、演奏はProject SATANが担当しています。
当時のゲームBGMはクラシック調の楽曲が多い中、本作はFC用ゲーム特有の「ピコピコ音」とは一線を画したロックサウンドを採用しました。これは、ナムコがパブリッシャーとなったことで、任天堂との業務提携によりナムコが保有するディストーション機能付きの音源チップを使用できたことが大きく貢献しています。「(本作の)ディストーション・ノイズは、ナムコのチップでしか鳴らせなかった」という言葉が、このサウンドの希少性を如実に物語っています。
後年の1991年12月16日には、ビクター音楽産業からサウンドトラックCD『女神転生I・II 召喚盤・合体盤』が発売されました。8台のファミコン実機を同時接続して一音源ずつレコーディングするという手法が採用されており、実機で鳴る音よりも音色が豪華になっているとのことです。
第6章|発売当時の評価
ゲーム誌「ファミコン通信」のクロスレビューでは8・8・8・7の合計31点(満40点)を獲得し、シルバー殿堂入りを果たしています。「ゲーム通信簿」(ファミリーコンピュータMagazine読者投票)での評価は24.40点(満30点)でした。
同誌1991年5月10日号特別付録「ファミコンロムカセット オールカタログ」でも「悪魔合成が画期的なRPG」と革新性が評価され、「登場するモンスターの多様さは他のRPGに類を見ないだろう」と高く評価されています。
また本作のCMは、島田紳助さん・西川のりおさんら吉本興業の芸人たちを起用したことでも話題を集めました。ゲームの難易度が高くヒント等を求める電話が殺到するという内容のコント形式で制作されており、当時大きな話題となりました。
第7章|シリーズへの展開と現代でのプレイ環境
旧約・女神転生(スーパーファミコン・1995年)
本作と続編『デジタル・デビル物語 女神転生II』(1990年)の2部作をリメイク・カップリングした『旧約・女神転生』が、1995年にスーパーファミコン用ソフトとしてアトラスから発売されました。
真・女神転生シリーズとペルソナシリーズへ
本作で確立された「仲魔システム」「悪魔合体」「現代日本を舞台にした異世界RPG」というコンセプトは、後の『真・女神転生』シリーズ(1992年〜)、『ペルソナ』シリーズ(1996年〜)へと受け継がれ、世界的に人気を博するシリーズへと発展しています。
Nintendo Switch「ナムコットコレクション」DLC第3弾
現在は、Nintendo Switchの「ナムコットコレクション」DLC第3弾のひとつとして本作が収録されており、セーブ機能や巻き戻し機能が搭載された状態で現代のゲーム機でプレイすることが可能です。
第8章|レトロゲームとしての現在の価値
定価4,900円で発売された本作は、現在のレトロゲーム市場においても一定の需要があります。女神転生シリーズの原点という歴史的な価値から、シリーズファンのコレクションとしての需要は根強いものがあります。
Nintendo Switchの「ナムコットコレクション」でデジタル配信されているため、手軽にプレイしたい場合は実機を持たなくても最新のゲーム機で楽しめる環境が整っています。一方で、当時の箱・説明書付き完品の実物カートリッジには、パッケージイラストを担当した北爪宏幸さんの迫力あるビジュアルや、江崎稔さんのイラストによる説明書など、コレクターとして手にとってこそ味わえる魅力があります。
まとめ|「仲魔」「悪魔合体」——38年後も続くシリーズの出発点
『デジタル・デビル物語 女神転生』は、1987年9月11日にナムコからファミリーコンピュータ向けに定価4,900円で発売されたRPGです。アトラスが開発し、岡田耕始さんの企画により生まれた本作は、西谷史先生の原作小説を下敷きに、天才プログラマー中島朱実と白鷺弓子が大魔王ルシファーに立ち向かう物語を描いています。
悪魔を仲魔にする交渉システム・悪魔合体・3Dダンジョン探索・AUTO機能・ナムコチップによるロックサウンドという革新の詰め合わせは、ファミ通クロスレビュー31点・シルバー殿堂入りという評価に裏打ちされています。そして38年後の現在も『真・女神転生』『ペルソナ』シリーズが世界で愛され続けているという事実が、本作の持つゲームデザインの本質的な面白さを証明しています。Nintendo Switchでも楽しめる環境が整っている今、シリーズの原点に触れてみてください。
本記事に記載の発売日・価格・ゲームシステム・スタッフ情報・評価情報は、複数の信頼できる情報源に基づいて執筆しております。
(出典 Youtube)
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