はじめに|ファイナルファンタジー誕生前のスクウェアが手がけた異色作
※記事内の画像は全てイメージです。実際の製品・写真とは異なります。
1985年12月19日、スクウェアからファミリーコンピュータ向けに定価5,500円で発売された『テグザー』(THEXDER)は、ゲームアーツが開発したPC-8801mkIISR用アクションシューティングゲームをファミコンに移植した作品です。
「ファイナルファンタジー」という言葉すら存在しなかった1985年のスクウェアが、ファミコン市場に参入して最初に手がけた移植タイトルのひとつが本作です。変形可能なロボット「テグザー」を操り、迷宮のような面をエネルギーを補給しながら進む全方向スクロールシューティングとして、当時のファミコンユーザーに新鮮な驚きをもたらしました。
同時に本作は、日本のゲーム史において「裏技ブームの火付け役」ともいわれる存在です。本作に搭載された「無敵コマンド」が後のファミコン裏技ブームを牽引したとも評されており、ゲームプレイの内容を超えた文化的な影響力を持つ作品でもあります。本記事では、基本情報から原作の背景・ゲームシステム・PC版との違い・現代での展開まで詳しく解説いたします。
第1章|基本情報・スペック
複数の公的ソースで確認した基本スペックは以下の通りです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイトル | テグザー(THEXDER) |
| 機種 | ファミリーコンピュータ(FC) |
| 発売日 | 1985年12月19日 |
| 発売元 | スクウェア |
| 移植担当 | ビッツ・ラボラトリー |
| 原作開発 | ゲームアーツ |
| ジャンル | アクションシューティング(全方向スクロール) |
| 定価 | 5,500円 |
| 容量 | 512Kbit |
| プレイ人数 | 1人 |
ファミコン版の移植はビッツ・ラボラトリーが担当しており、発売元のスクウェアとは別の会社が移植作業を行っています。ゲームのオリジナルを開発したゲームアーツも、本作の制作には直接関与しておらず、スクウェアがライセンスを受けて販売した形です。
第2章|タイトル「テグザー」の由来
ゲームタイトルであり自機の名前でもある「テグザー(THEXDER)」には、明確な由来があります。開発を担当したゲームアーツが制作にあたって影響を受けたと明言している3作品——『テセウス』(1983年)、『エグゾアIIウォーロイド』(1984年)、『グロブダー』(1984年)の頭文字または一部を合成して「THEXDER」というタイトルが生まれました。
なお設定上は、未来においてこの名前の発音は現代と異なるという設定も存在しています。
第3章|原作PC版の歴史|1985年のゲームアーツが作り上げた名作
本作の原点となるPC版「テグザー」について解説いたします。
1985年4月、ゲームアーツからPC-8801mkIISR用ソフトとして発売されたオリジナル版「テグザー」は、滑らかなアニメーション・高速な8方向スクロール・戦略性の高さ・広大なマップ・FM音源による豊かなBGMが特徴の、当時の8ビットパソコン向けゲームとして異例のクオリティを持つ作品でした。
開発はゲームアーツが行い、ゲーム制作はMSX用ソフト『ペアーズ』を手がけた五代響さんと、MSX用ソフト『MOLE』を手がけた上坂哲さんが担当。音楽も五代響さんが担当しました。
同年、日本国内ではX1・FM-7/77/77AVなどの機種にも移植され、翌1986年にはPC-9801版やMSX版が、1986年にはアスキーからMZ-2500版が発売されています。
海外ではアメリカのシエラ社がApple IIGS版として移植しヒットさせ、IBM PC、TRS CoCoなど多くの機種に移植された結果、Apple IIGS版のパッケージには「50万本を超える売り上げ」と記載されるほどの成功を収めました。後に発売された関連作品のパッケージによれば、テグザーの全世界売上は100万本を超え、当時の日本製パソコンゲームとしては世界で最も売れた作品のひとつだったとされています。
第4章|ストーリーと世界観|小惑星に潜む軍事基地への潜入
ゲームの世界観と物語は、SF色の強いものです。
宇宙空間を飛びながら兵器の開発を行う秘密軍事基地「レイピナ」は、ある時、謎の小惑星が浮かんでいるのを発見し、探査に向かいます。しかし数万キロまで接近した瞬間、小惑星は強力な磁力によってレイピナをその軌道上に捕えてしまいます。
事態を打開するため、レイピナは開発中の新型兵器「ハイパーデュアルアーマー テグザー」に望みをかけ、小惑星に向けて発進させます。プレイヤーはこのテグザーを操り、小惑星内部に造られた巨大軍事基地に潜入して、磁力線発生装置を破壊することが目的となります。
第5章|ゲームシステム詳細|変形・自動照準・エネルギー管理の三本柱
ロボット形態と飛行形態への変形
本作の核心となるシステムが、自機テグザーの「変形」機能です。テグザーはロボット形態と飛行形態の2種類に変形することができ、地形や状況に応じて使い分けながら進みます。
飛行形態ではマッハ4.1での高速飛行が可能であり、狭い通路や迷宮状の面を素早く移動するのに適しています。一方、戦闘形態(ロボット形態)に変形すると「オート・エナミー・チェイサー」が働き、全自動照準でミサイルを連射することができます。
自動照準システム
本作の特徴的なシステムのひとつが自動照準機能です。ロボット形態に変形している際、プレイヤーが特定の方向に狙いを定めなくても、自動的に敵に向けてミサイルが発射されます。これにより、複雑に入り組んだ面の中でも敵への対処がスムーズに行えます。
ただしファミコン版では、PC版のような即着弾のレーザーとは異なり、発射後に飛行する「弾」として表現されているため、PC版と比較すると敵への対処に若干のタイムラグが生じます。
エネルギー管理
本作のプレイで最も重要な要素がエネルギー管理です。テグザーのエネルギーは、敵を倒した際に放出されるエネルギーを胸部(飛行中は翼部)にあるサプライ・システムで吸収することで補給できます。
バリアは敵の弾や体当たりからある程度防御してくれますが、使用すると非常に高いエネルギーを消費します。エネルギー残量が少ない状態ではバリアを張ることができず、エネルギーがゼロになるとゲームオーバーとなります。
ファミコン版のステージ構成
ファミコン版のステージ構成は、PC版の「全16面+裏16面」とは異なり、「一周5面、全99面」という仕様になっています。LEVEL6以降はLEVEL1〜5と同じ面構成の色違いで周回する形式です。全99面をクリアすると画面一杯にミンメイ人形が並んで上にスクロールし続けるという、特殊なエンディングが存在します。
隠しキャラクターの存在
ゲームを周回するほど隠しキャラクターの種類が変わっていくという要素も用意されており、周回プレイへの動機付けとなっています。
第6章|PC版との主な違い|「レーザーが弾になった」衝撃
ファミコン版とPC版の最大の違いは、自機の主武装の変更です。
PC版では「レーザー」という即着弾の光線武器が採用されていましたが、ファミコン版では「3連発の断続的に飛んでいく丸い弾」に変更されています。この変更はWikipedia上でも「自動照準機能は搭載されているがレーザーと異なり瞬間的に着弾しない為PC版と比較して敵への対処が難しくなっている」と明記されており、ファミコン版の評価を下げる最大の要因として当時から指摘されていました。
一方で、PC版ではレーザーを撃つたびにエネルギーが消費されましたが、ファミコン版では「弾を撃ってもエネルギーが減少しなくなった」という仕様変更も行われています。またPC版にあったエネルギー最大値を増やす要素も削除されています(表示上の最大値は999)。
これらの変更から、ファミコン版はPC版の原作ファンからは「別物」と評され、非常に残念な移植作品と語られることが多くありました。一方で、ファミコン版単体で楽しんだプレイヤーからは「PCと比較しなければかなり楽しめた」という声も残されており、その評価は立場によって大きく異なります。
第7章|「裏技ブームの火付け役」という歴史的意義
本作は、ゲームプレイ以外の面でも日本のゲーム文化に大きな影響を与えた作品として知られています。
本作に搭載された「無敵コマンド」が、ファミコン向けの裏技ブームを爆発的に広めたゲームのひとつとして語られています。当時のゲーム誌がこの情報を掲載したことで読者からの反響を得、以後ゲーム誌が競って裏技情報を掲載するという流れが生まれました。「このゲームの無敵コマンドが以後の裏技ブームを作り出したと言っても過言ではない」という評価もあるほどで、本作は日本のゲーム文化の形成においてひとつの転換点を作ったといえます。
第8章|各プラットフォームへの展開と現代でのプレイ環境
スクウェア・エニックスによるリメイク版(2009年)
2009年10月1日、スクウェア・エニックスからPSP版がPlayStation Storeでダウンロード配信されました。2010年1月28日にはPS3版も配信されています。リメイク版ではグラフィックの大幅な強化、イージーモード・オンライン対戦などの新モードが追加されました。PS3版には1985年版のオリジナルテグザーも収録されています。
プロジェクトEGGによる配信
2002年にはPC-8801版が、2006年にはFM-7版が、2019年には再びPC-8801版がプロジェクトEGGから配信されています。2020年にはMSX版も同様に配信されました。
EGGコンソール テグザー(2023年)
2023年10月26日、『EGGコンソール テグザー PC-8801mkIISR』としてNintendo Switch対応ダウンロード版がリリースされました。現代のゲーム機でオリジナルのPC-8801版を楽しめる環境が整っています。
まとめ|裏技文化の礎を築いた、スクウェア黎明期の記念碑的作品
『テグザー』は、1985年12月19日にスクウェアからファミリーコンピュータ向けに定価5,500円で発売されたアクションシューティングゲームです。ゲームアーツが開発したPC版を原作とし、ビッツ・ラボラトリーがファミコンに移植した本作は、変形可能なロボット「テグザー」を操り全方向スクロールの迷宮状面を全99面進む内容となっています。
レーザーが弾に変更されたPC版との違いはファミコンファンから惜しまれましたが、自動照準システム・変形システム・エネルギー管理という三本柱は健在。そして「無敵コマンド」を通じて日本のゲーム裏技文化の礎を築いたという歴史的な意義も持っています。後の「ファイナルファンタジー」によって世界的なRPGメーカーとなるスクウェアが、1985年に刻んだ記念碑的な一本として、ぜひ現代でも体験していただきたい作品です。
本記事に記載の発売日・価格・ゲームシステム・原作情報・評価情報は、複数の信頼できる情報源に基づいて執筆しております。
(出典 Youtube)
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