はじめに|「3DダンジョンRPG初心者にも安心して楽しめる」シリーズの集大成
1990年4月6日、アスミックからファミリーコンピュータ向けに定価6,500円(税抜)で発売された『ディープダンジョン IV 黒の妖術師』は、1986年の第1作から始まった3DダンジョンRPGシリーズ「ディープダンジョン」の第4作にして最終作です。
本作最大の特徴は、シリーズ悲願ともいえる「オートマッピング機能」の搭載です。前作まで、プレイヤーは方眼紙を片手に自力でマップを描きながらダンジョンを探索するという、当時のダンジョンRPGの定番でありながら手間のかかる作業を強いられていました。本作でこれが自動化されたことは、3DダンジョンRPGの大きなハードルをひとつ取り除く画期的な変化でした。
さらにキャラクターメイキングの廃止・ストーリーで仲間が増えるシステム・ゲームバランスの大幅な改善と、前作から多くの変化が加えられています。「3DダンジョンRPG初心者にも安心して楽しめる難易度」という評価の通り、シリーズの中で最も遊びやすい一本となっています。しかし販売本数が振るわず、これが結果的にシリーズ最後の作品となりました。
本記事では、基本情報から前作との違い・ゲームシステム・評価まで詳しく解説いたします。
第1章|基本情報・スペック
複数の公的ソースで確認した基本スペックは以下の通りです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイトル | ディープダンジョン IV 黒の妖術師 |
| 機種 | ファミリーコンピュータ(FC) |
| 発売日 | 1990年4月6日 |
| 発売元 | アスミック |
| 開発元 | ハミングバードソフト |
| ジャンル | ロールプレイングゲーム(3DダンジョンRPG) |
| 定価 | 6,500円(税抜) |
| セーブ | バッテリーバックアップ内蔵 |
| プレイ人数 | 1人 |
| 権利表記 | ©1990 アスミック |
第1・2作がDOG(スクウェア系)からディスクシステム向けに、第3作がスクウェアからROMカートリッジで発売されたのに対し、本作は前作までと異なりアスミックからの発売となっています。シリーズを通じて開発を担当したハミングバードソフトは変わっていません。
第2章|ディープダンジョンシリーズの締めくくりとして
ディープダンジョンシリーズ全4作の流れを振り返ります。
| 作品 | 発売年 | 媒体 | 発売元 |
|---|---|---|---|
| ディープダンジョン 魔洞戦記 | 1986年12月19日 | ディスクシステム | DOG |
| ディープダンジョン II 勇士の紋章 | 1987年5月30日 | ディスクシステム | DOG |
| ディープダンジョン III 勇士への旅 | 1988年5月13日 | ROMカートリッジ | スクウェア |
| ディープダンジョン IV 黒の妖術師(本作) | 1990年4月6日 | ROMカートリッジ | アスミック |
「販売本数で振るわなかったため、ディープダンジョンシリーズ最後の作品となった」と記録されており、本作がシリーズの事実上の完結作となりました。また「第III作と同様に他機種には一切移植されていない」とも記されており、ファミコン版でのみプレイできるシリーズ最終作です。
1986年にファミコン初の全編3DダンジョンRPGとして誕生したシリーズが、4年間で4作品を発表して幕を閉じた——本作はその最後の一本として、シリーズが到達した到達点を示す作品です。
第3章|ストーリー|英雄フレドの息子として、魔王サイマーに挑む
ストーリーの概要は以下の通りです。
かつて世界を救った英雄「フレド」が、何者かによって殺されてしまいます。主人公はそのフレドの息子として、父の仇を討ち、世界に平和を取り戻すために旅立ちます。目的は仇敵であり世界に脅威をもたらす「魔王サイマー」を倒すことです。
前作「勇士への旅」が「勇剣士を目指す青年」という漠然とした動機だったのに対し、本作では「殺された父の仇を討つ」という明確な動機と、ストーリーラインが設けられています。「シナリオは前作と比べたら重視されている感じ」という評価もあり、ゲームとしての物語性が前作より強化されています。
第4章|前作からの変更点|初心者にも優しいシリーズへの大転換
最大の新要素:オートマッピング機能
本作最大の追加要素が「オートマッピング機能」です。第1作から前作まで、3DダンジョンRPGのプレイには方眼紙に手書きでマップを描くマッピング作業が必要でした。本作では自動的にマップが作成されるオートマッピングが搭載されており、この手間が大幅に解消されました。
「オートマッピング機能を新たに搭載することでよりプレイしやすくなり」、ファミコンロムカセット オールカタログ(ファミリーコンピュータMagazine1991年5月10日号特別付録)では「なかなか便利」と肯定的に評価されています。
キャラクターメイキングの廃止・ストーリーで仲間が増える
前作ではゲーム開始時に自分でキャラクターを作成し、4人パーティを編成するシステムでしたが、本作ではこのキャラクターメイキングが廃止されました。代わりに、ストーリーの進行に伴って仲間キャラクターが自動的に加わる形式に変更されています。
「仲間はストーリーで増える!キャラクターメイキングは廃止」という変更であり、これによりゲーム開始のハードルが大きく下がっています。一方で「レベルが低すぎて使えない……という悲しい経験をした人も少なくないでしょう」というデメリットも指摘されており、ストーリー加入直後の仲間が低レベルであることの難しさも伴います。
ゲームバランスの大幅改善
前作では「LV1時点では敵の攻撃一発で昇天する可能性」「魔法使いがHPが低すぎてすぐ昇天する」という高難度が問題でしたが、本作では大幅に緩和されています。「敵の強さや魔法の消費MPが調整され、一撃で昇天したり魔法が数発しか撃てないなんてことがなくなりました。ゲームバランスが良くなりました!」という評価の通りです。
さらにシナリオを進めると「何回も使えるグループ即死効果アイテム」や「MP回復アイテム」も手に入るなど、プレイヤーへの支援が充実しています。
新たなダンジョン環境
「地下ダンジョンに加えて森や城、山などの新たなダンジョンが登場するなど冒険の幅もアップ」しています。前作までは主に地下ダンジョンが舞台でしたが、本作では多様な環境でのダンジョン探索が楽しめるようになりました。
第5章|ゲームシステム詳細|前作を踏まえた3DダンジョンRPG
3D視点のダンジョン探索
基本的なゲームプレイは前作から引き継がれており、3D視点でダンジョン内を移動しながら探索を進めます。前作では必須だった手書きマッピングがオートマッピングに代わり、より純粋に探索を楽しめる環境が整いました。
戦闘システム
前作との比較で「戦闘画面などウィザードリィに近くなっている」という評価があるように、シリーズ初期からのウィザードリィへのオマージュが本作でも継続されています。しかし難易度面では大幅に改善されており、前作で問題だった「理不尽な即死」が解消されています。
モンスターのアニメーション
「モンスターの不毛なアニメーション」という独特の表現でモンスターグラフィックが評価されており、1990年のファミコンソフトとして視覚的な工夫がなされていることがうかがえます。
パスワードシステム
本作もバッテリーバックアップ内蔵のカートリッジであり、ゲームの進行状態をセーブすることが可能です。前2作のディスクシステム版と同様に、途中からの再開を容易にする環境が維持されています。
第6章|発売当時の評価
「ファミコン通信」のクロスレビューでは合計23点(満40点)という評価でした。「ファミリーコンピュータMagazine」の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は16.31点(満30点)でした。同誌1991年5月10日号特別付録の「ファミコンロムカセット オールカタログ」ではオートマッピング機能に関して「なかなか便利」と肯定的に評価されています。
前作(ファミ通クロスレビュー24点)と比較すると僅かに低い評価ですが、「3DダンジョンRPG初心者にも安心して楽しめる難易度になった」という評価通り、難易度の改善とオートマッピングの搭載はゲームとしての間口を広げることに成功しました。
「ウィザードリィ等の難度の高い3DダンジョンRPGをやる前の準備運動にはいいかもしれません」という評価も記録されており、シリーズの入門作・3DダンジョンRPGの入門作としての位置づけが見えてきます。
一方で「3で終わったと思っている人も多く、この4作目の存在を知らない人も少なくない」という評価も残されており、前作の後継として十分な認知を得られなかった面もあります。
第7章|現在のプレイ環境と市場価値
本作はソフト単体で数百円程度から取引されており、比較的入手しやすい価格帯となっています。箱・説明書付きの完品や未使用品については高値が付く場合もあります。
他機種への移植がなく、バーチャルコンソールなどのデジタル配信も確認されていないため、現在プレイするにはファミコン実機と実物のカートリッジが必要です。
シリーズ最終作として、またハミングバードソフトが開発した3DダンジョンRPGの集大成として、シリーズのコレクションを揃えたいファンには欠かせない一本です。
まとめ|シリーズが辿り着いた「遊びやすさ」の境地
『ディープダンジョン IV 黒の妖術師』は、1990年4月6日にアスミックからファミリーコンピュータ向けに定価6,500円(税抜)で発売された3DダンジョンRPGです。1986年から続いたディープダンジョンシリーズの第4作にして最終作として、オートマッピング機能の搭載・キャラクターメイキング廃止・ストーリー加入式の仲間・ゲームバランスの大幅改善という、シリーズ史上最も大きなシステム変更を経て誕生しました。
「3DダンジョンRPG初心者にも安心して楽しめる」という到達点に辿り着きながらも、販売本数が振るわずシリーズ最後となった本作——ウィザードリィ系3DダンジョンRPGをファミコンに根付かせようとしたシリーズの試みの終着点として、レトロゲームの歴史において独自の意義を持つ一本です。
(出典 Youtube)
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