はじめに|タイトルは「猛レース」、でも中身はアクションゲーム
※記事内の画像は全てイメージです。実際の製品・写真とは異なります。
1991年12月25日、アトラスからファミリーコンピュータ向けに発売された『チキチキマシン猛レース』は、アメリカの人気アニメ「チキチキマシン猛レース」を題材としたコミカルアクションゲームです。
タイトルを見ると、誰もが「レースゲーム」を連想するのではないでしょうか。ところが本作は、純粋な横スクロールアクションゲームなのです。主役となるのは、原作アニメで絶大な人気を誇る独特の笑い声の犬・ケンケン。飼い主のブラック魔王に無理難題を押しつけられ、しぶしぶ単独で冒険へと出かけるという、原作のコミカルな雰囲気を活かしたゲームになっています。
ライフ制でパワーアップアイテムが手に入りやすく、道中は比較的進めやすい一方、ボス戦のチキチキマシンたちが妙に手強く「ロックマン」並みに敵の動きをパターン化する必要があるなど、歯ごたえのある作りも特徴です。本記事では、基本情報から原作アニメ・ゲームシステム・現在のプレミア状況まで詳しく解説いたします。
第1章|基本情報・スペック
複数の公的ソースで確認した基本スペックは以下の通りです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイトル | チキチキマシン猛レース |
| 機種 | ファミリーコンピュータ(FC) |
| 発売日 | 1991年12月25日 |
| 発売元 | アトラス |
| ジャンル | アクション(横スクロールアクション) |
| プレイ人数 | 1人 |
| ステージ数 | 全10ステージ |
| 権利表記 | ©1991 アトラス |
発売元のアトラスは、後に「女神転生」シリーズなどで知られることになるゲームメーカーです。本作の翌年(1992年3月27日)には、同じくアトラスからゲームボーイ版「チキチキマシン猛レース」も発売されていますが、こちらはファミコン版とは異なり見下ろし型のレースゲームとなっています。つまり「ファミコン版はアクション、ゲームボーイ版はレース」という、同名でジャンルの異なる2作品が存在する点も興味深いところです。
第2章|原作アニメ「チキチキマシン猛レース」について
本作を理解するために、まず原作アニメについて解説いたします。
「チキチキマシン猛レース」(原題:Wacky Races)は、アメリカのアニメーション製作会社ハンナ・バーベラ・プロダクションによって製作されたテレビアニメーション番組です。「トムとジェリー」「原始家族フリントストーン」などで知られるウィリアム・ハンナ氏とジョセフ・バーベラ氏の作品として、1968年にアメリカで放送されました。全34話の自動車レースを題材としたコメディ作品です。
日本では、1970年4月6日から同年7月27日までNETテレビ(現・テレビ朝日)とその系列局で放送されました。11台の個性的なレーシングカーとそのドライバーたちが、砂漠・峡谷・断崖絶壁・底なし沼といったヘンテコでワイルドなコースで順位を争うという内容です。
中でも絶大な人気を誇るのが、悪役のブラック魔王と、その相棒である犬のケンケンのコンビです。2人が乗り込む「ゼロゼロマシン」は、他車を妨害するためのドリルやマシンガン、大砲、ミサイルなどを搭載した未来的なマシン。ブラック魔王は毎回さまざまな妨害工作を巡らせますが、その日頃の行いや詰めの甘さから必ず最下位に終わるというお約束のオチが付きます。そして相棒のケンケンが、ブラック魔王の失敗をあの独特な笑い声でからかうという掛け合いが、作品の大きな魅力となっています。
このブラック魔王とケンケンの人気は高く、後に2人を主役にしたスピンオフ作品『スカイキッドブラック魔王』なども製作されました。本作ファミコン版の主役にケンケンが起用されたのも、こうした原作での絶大な人気を反映したものといえます。
第3章|ゲームのストーリー|ブラック魔王の無理難題に挑むケンケン
本作のストーリーは、原作のコンビ関係を活かした内容になっています。
主人公は犬のケンケン。飼い主であり相棒でもあるブラック魔王から無理難題を押しつけられ、ケンケンはしぶしぶ単独で冒険に出かけることになります。ブラック魔王を救出したり、愛車ゼロゼロマシンのエンジンを探しに行くなど、原作アニメ同様の世界観で物語が展開していきます。
原作で常にブラック魔王に振り回されているケンケンが、今度は単独で奮闘するという設定は、原作ファンにとってニヤリとさせられる構成です。全10ステージを冒険しながら、与えられた難題をこなしていくことがゲームの目的となります。
第4章|ゲームシステム詳細|ライフ制の横スクロールアクション
横スクロールアクションの基本
本作は、ケンケンを操作して進む横スクロールアクションゲームです。タイトルの「猛レース」という言葉からレースゲームを想像してしまいますが、実際にはレース要素はなく、ステージを横方向に進みながら敵を倒し、ボスを撃破して進んでいくアクションゲームとなっています。
ライフ制とパワーアップアイテム
本作はライフ制を採用しており、敵の攻撃を受けるとライフが減少します。道中ではパワーアップアイテムが比較的手に入りやすく、これらを活用することで道中の攻略はそれほど苦労せずに進められる設計になっています。
ボス戦の高い難易度
本作の難易度の核となるのが、各ステージのボス戦です。ボスとして立ちはだかるチキチキマシンたちが妙に手強く、「ロックマン」シリーズのように相手の動きをパターン化して対処する必要があります。
特に最初に戦うボス「ヒュードロクーペ」は、考えなしにプレイしているとボコボコにされてゲームオーバーになってしまうほどの強さを持っており、道中の難易度とのギャップが大きいのが特徴です。原作アニメに登場する個性豊かなマシンたちがボスとして登場するため、原作ファンにとっては「あのマシンと戦える」という楽しさもあります。
全10ステージの構成
本作は全10ステージで構成されています。各ステージを攻略しながら、ブラック魔王の救出やゼロゼロマシンのエンジン探しといった目的を達成していきます。原作アニメの世界観を活かしたステージ構成で、コミカルな雰囲気を楽しみながらプレイできます。
第5章|アトラスというメーカーと本作の位置づけ
本作を発売したアトラスは、1986年に設立されたゲームメーカーです。「女神転生」シリーズをはじめとするRPGで高い評価を得ているメーカーとして知られていますが、ファミコン時代にはアクションゲームやキャラクターゲームなど、さまざまなジャンルのソフトを手がけていました。
本作が発売された1991年12月は、すでにスーパーファミコン(1990年11月発売)が市場に登場していた時期であり、ファミコン市場としては後期にあたります。そのような時期に、20年以上前のアニメを題材としたキャラクターゲームが発売されたわけですが、当時はソフト化やケンケンのグッズ人気などのおかげで、原作アニメはそれなりの知名度を保っていました。
第6章|発売当時の評価とゲームの魅力
本作はアニメのキャラクターを活かしたコミカルなアクションゲームとして、原作ファンを中心に楽しまれました。
ライフ制でパワーアップアイテムが手に入りやすい親切な設計と、ボス戦のパターン化が求められる歯ごたえのある難易度という、緩急のあるゲームバランスが特徴です。原作アニメの人気キャラクター・ケンケンを操作できること、そしてチキチキマシンたちとボス戦で対決できることは、原作ファンにとって大きな魅力となっています。
「往年の名作アニメを基にしたレースゲームではなく、人気キャラのケンケンが主役の横スクロールアクション」という、タイトルから受ける印象とのギャップが、本作を語る上での特徴的なポイントとして今なお語られています。
第7章|「チキチキマシン猛レース」のゲーム化作品の系譜
本作以外にも、「チキチキマシン猛レース」を題材としたゲームは複数発売されています。
ファミコン版(1991年12月25日・アトラス・横スクロールアクション)に続き、ゲームボーイ版(1992年3月27日・アトラス・見下ろし型レースゲーム)が発売されました。その後、3DO用ソフト『チキチキマシン猛レース ケンケンとブラック魔王のイジワル大作戦』(1994年3月20日)、『チキチキマシン猛レース2 In Space』(1995年8月11日)なども登場しています。
また、セガからは競馬ゲーム『WORLD DERBY』の改造版として「チキチキマシン猛レース」(1992年)が稼働するなど、さまざまな形でゲーム化されてきました。本作ファミコン版は、これらのゲーム化作品の中でも初期にあたる作品です。
第8章|現在のレトロゲームとしての価値|高騰するプレミア価格
本作は現在、レトロゲーム市場でプレミア価格がついているソフトのひとつです。
当時は7,000円台で購入できたゲームとされていますが、現在では箱・説明書付きの完品が19,800円ほどの価格で取引されている事例も確認されており、大きく価格が高騰しています。Yahoo!オークションの落札実績でも数千円台での取引が見られ、人気の高さがうかがえます。
価格高騰の背景には、ファミコン後期(1991年末)の発売で流通量がそれほど多くなかったこと、そして原作アニメ「チキチキマシン猛レース」の根強い人気が挙げられます。原作アニメは現在でも各種動画配信サービスで視聴可能であり、世代を超えて愛され続けているコンテンツです。
まとめ|原作愛あふれる、ケンケン主役の隠れた良作アクション
『チキチキマシン猛レース』は、1991年12月25日にアトラスからファミリーコンピュータ向けに発売された横スクロールアクションゲームです。タイトルから「レースゲーム」を連想させながら、実際には原作アニメの人気キャラクター・犬のケンケンを主役とした純粋なアクションゲームという、ユニークな立ち位置を持つ一本です。
ブラック魔王の無理難題に挑むケンケンの冒険、ライフ制とパワーアップアイテムによる親切な道中設計、そして「ロックマン」並みのパターン化が求められる手強いボス戦——全10ステージを通じて、原作アニメのコミカルな世界観を楽しめる作品となっています。現在はプレミア価格がついている希少なソフトですが、ハンナ・バーベラの名作アニメとファミコンアクションの融合を体感したい方にとって、注目の一本といえます。
本記事に記載の発売日・ゲームシステム・原作情報・評価は、Wikipedia(チキチキマシン猛レースの項目)、Weblio辞書(同Wikipedia転載)、ピコピコ大百科、ピクシブ百科事典、ニコニコ大百科、レトロゲームの説明書保管庫、ファミコンショップお宝王、レトロゲームとマンガとももクロと(ブログ)に基づいております。
(出典 Youtube)
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