- はじめに|「ファミコン初の本格プロレスゲーム」が生まれるまで
- 第1章|基本情報・スペック
- 第2章|原作アーケード版の歴史的意義|世界初のプロレスゲーム
- 第3章|ファミコン版の位置づけ|「ファミコン初の本格プロレスゲーム」
- 第4章|登場レスラー|実在のレスラーをモチーフにした4人
- 第5章|ゲームシステム詳細|Bボタンで技を選ぶ革新的操作
- 第6章|2コンマイクを使ったハリセン攻撃|遊び心あふれる隠しシステム
- 第7章|1Pゲームモードの構成|全35ラウンドの勝ち抜き戦
- 第8章|幻の限定版「タッグチームプロレスリングスペシャル」
- 第9章|後のプロレスゲームへの影響
- まとめ|世界初のプロレスゲームの遺産を受け継いだファミコンの一本
はじめに|「ファミコン初の本格プロレスゲーム」が生まれるまで
※記事内の画像は全てイメージです。実際の製品・写真とは異なります。
1986年4月2日、ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)からファミリーコンピュータ向けに発売された『タッグチームプロレスリング』は、ファミコン初の本格プロレスゲームとして歴史に刻まれる作品です。
その源流をたどると、テクノスジャパンが開発し1983年12月にデータイーストからアーケードで稼働した『ザ・ビッグプロレスリング』にたどり着きます。本作はその家庭用移植版であり、さらにこのアーケード版自体が「世界初のプロレスを題材としたコンピュータゲーム」(Wikipedia記述より)という革命的な作品でした。
斜め見下ろし型の画面、Aボタンで組み合いに持ち込みBボタンの押し回数で技を選択するという当時としては革新的なシステム、「イテー!」「ギブアップ!」という音声、2コンのマイクを使ったハリセン攻撃という遊び心——。本記事では、この歴史的な一本の全貌を詳しく解説いたします。
第1章|基本情報・スペック
お宝Toy’s ZOON・おたからおう・Wikipedia(Weblio辞書転載)・ファミコン名作の杜など複数の公的ソースで確認した基本スペックは以下の通りです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイトル | タッグチームプロレスリング |
| 機種 | ファミリーコンピュータ(FC) |
| 発売日 | 1986年4月2日 |
| 発売元 | ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント) |
| ジャンル | スポーツ(プロレス) |
| 希望小売価格 | 4,900円 |
| プレイ人数 | 1〜2人 |
| 原作 | 『ザ・ビッグプロレスリング』(1983年・データイースト・アーケード) |
| 開発(アーケード版) | テクノスジャパン |
なお本作と同年には、海外向けにもData Eastから「Tag Team Wrestling」としてNES版が発売されており(1986年10月)、国際的にも展開された作品です。
第2章|原作アーケード版の歴史的意義|世界初のプロレスゲーム
本作の源流であるアーケード版『ザ・ビッグプロレスリング』は、1983年12月にデータイーストから稼働した、文字通り「世界初のプロレスを題材としたコンピュータゲーム」です(Wikipedia・Weblio辞書・レトロゲームの版権曲Wiki Fandom、複数ソースで確認)。
開発を担ったのはテクノスジャパン。同社はのちに『熱血硬派くにおくん』シリーズや『ダブルドラゴン』といった格闘アクションの傑作を生み出すことになるメーカーであり、格闘ゲームの文脈においても重要な位置を占める開発会社です。
Weblio辞書(Wikipedia転載)によれば、アーケード版は「制作にあたって新日本プロレス、全日本プロレス両社から承認を受けている」とされており、デモ画面にも「新日プロ 全日プロ 承認」の文字が表示されていました。また入場BGMとして使用されているのはアントニオ猪木さんの入場テーマ曲「炎のファイター」(原曲は1977年)であり、プロレスファンの心をつかむ演出が施されていました。
アーケード版の版権は現在アークシステムワークスが保有しており、ハムスター社の「アーケードアーカイブス」シリーズに『アーケードアーカイブス ザ・ビッグ・プロレスリング』として収録・配信されています。
第3章|ファミコン版の位置づけ|「ファミコン初の本格プロレスゲーム」
ファミコン版『タッグチームプロレスリング』は、れとげ部!の記事でも「ファミコン初のプロレスゲーム」と位置づけられています。ただし同記事では「前年(1985年)に『キン肉マン マッスルタッグマッチ』が発売されているんだけど、こちらは一般的にはプロレスゲームというよりもアクションゲームとして認知されてる」という指摘もなされており、キャラクターゲームとしての側面が強い作品との区別のもとで「本格プロレスゲーム」という評価がなされています。
またファミ通攻略サイト系ブログ「タッグチームプロレスリング【FC】ハリセン攻撃なんてアリ?」でも「のちにディスクシステム版の任天堂のプロレスが発表されると全部持っていかれてしまいました」と記述されており、本作の後に登場した任天堂自身によるプロレスゲームに一時的に話題を奪われたという歴史も記録されています。
第4章|登場レスラー|実在のレスラーをモチーフにした4人
本作に登場するレスラーは全部で4名です。Amazon.co.jpのレビュー(複数の購入者による詳細なプレイレポート)で確認できる各キャラクターの情報は以下の通りです。
1Pチーム「リッキーファイターズ(RICKY FIGHTERS)」
リッキー
日本マット界の王者とされるキャラクターで、長州力さんをモチーフにしたレスラーです。必殺技はサソリ固め(スコーピオン・デスロック)。
ウルトラマシーン
謎の覆面レスラーとして設定されており、スーパー・ストロング・マシンさんをモチーフにしたキャラクターです。必殺技はブレーンバスター。
2P・CPUチーム「ストロングバッズ(STRONG BADS)」
マスクロス
「メキシコの星」と呼ばれる赤い覆面をかぶったレスラーで、ミル・マスカラスさんをモチーフにしています。必殺技は延髄斬り。
ウォーリー
「悪の重戦車」と恐れられるレスラーで、アニマル・ウォリアーさんをモチーフにしたキャラクターです。必殺技はウエスタン・ラリアート。
いずれも実在するプロレスラーを明確にモデルにしたキャラクターでありながら、名称は架空のものが使用されています。
第5章|ゲームシステム詳細|Bボタンで技を選ぶ革新的操作
斜め見下ろし型のリング画面
ファミコン名作の杜・おきらくゲームソフト事典で確認できるゲームの基本構成は以下の通りです。画面は斜め見下ろし型で、リング全体が一画面に収まる形式です。プレイヤーは1Pチーム「リッキーファイターズ」を操作し、「ストロングバッズ」チームとのタッグマッチを戦います。
勝利条件
試合は時間無制限1本勝負。以下のいずれかで勝敗が決まります。
- フォール:3カウント(相手の体力が0に近い状態でのみ奪える)
- 場外リングアウト:場外20カウント以内に戻れなかった場合
- ギブアップ:相手の体力がゼロの状態で持続系の技がかかり続けた場合
1回でも負けるとゲームオーバーとなる厳しいルール設定です。
革新的な「組み→技選択」システム
本作のゲームシステムで最も独創的なのが、技の選択方法です。ファミコン名作の杜・おきらくゲームソフト事典の記述を総合すると、操作の流れは以下の通りです。
① AボタンでパンチをTABしてhitすると、相手が「制御状態」になる。 ② 3秒以内にBボタンを0〜7回押して技の種類を選択する。 ③ Aボタンを押すと技が発動。3秒以内にAボタンを押さないと制御状態が解除される。
この「Bボタンを押す回数で技を選ぶ」というシステムは、当時のファミコンゲームとしては非常に革新的なものでした。技は打撃系と持続系の2種類に大別されており、持続系の技は技がかかっている間継続的に体力を奪い続けます。
ファミコン堂(Wikipedia引用)
・おきらくゲームソフト事典で確認できる技のラインナップは以下の通りです。
場内の技:ヘッドロック、キック、ウエスタン・ジャブ、チョップ、ドロップ・キック、ボディ・スラム、エンズイギリ(延髄斬り)、パイルドライバー、ウエスタン・ラリアット、ブレーン・バスター、ジャーマン・スープレックス、コブラツイスト
場外の技:ナックル・パート、カラタケワリ(唐竹割り)、鉄柱攻撃
鉄柱攻撃やゴングによる凶器攻撃といった反則技まで用意されており、プロレスのリアリティを追求した設計となっています。
音声「イテー!」「ギブアップ!」の衝撃
ファミコン名作の杜では「『イテー!』『ギブアップ!』といった擬声音は、『スパルタンX』で登場して以来のファミコン採用となり、話題となった」と記述されています。当時のファミコンゲームでの音声合成はまだ珍しく、これらの声が流れること自体がゲームの大きな魅力のひとつでした。
第6章|2コンマイクを使ったハリセン攻撃|遊び心あふれる隠しシステム
本作には、旧型ファミコン(初代ファミリーコンピュータ)に搭載されていた2コントローラーのマイク機能を活用した特殊コマンドが存在します。
Wikipedia(Weblio辞書転載)によれば「2P側コントローラのマイク機能を活用できる。2P側のA・Bボタンを押しながら、マイクに向かって叫ぶと、味方がハリセンを持って登場し、相手のフォールを妨害する」という仕様です。
ファミコン堂・タッグチームプロレスリング攻略ブログでも「味方がピンチの時に2コンのマイクを使う」と記されており、ピンチの状況でこの裏技的な機能を活用すると逆転のチャンスが生まれます。プロレスらしい「場外からの乱入妨害」をゲームシステムに落とし込んだ遊び心あふれる演出です。
なお、この機能は旧型ファミコン(AV仕様ではない初期モデル)固有のマイク機能を使用しているため、のちのファミコン互換機やAVファミコンではマイク機能が使えない仕様となっています。
第7章|1Pゲームモードの構成|全35ラウンドの勝ち抜き戦
おたからおうの商品説明・ナムコゲームカタログ(gamecatalog.net)で確認できる1人プレイの構成は以下の通りです。
1人プレイでは「ストロングバッズ」チームを相手に、日本・ヨーロッパなどのチャンピオン戦を含む全35ラウンドの勝ち抜き戦を戦います。すべてのラウンドを制覇し「SUPER CHAMPION」になることがゲームのクリア条件です。ナムコゲームカタログのコピーには「ついに出た!本格的プロレスゲーム」「全35ラウンドを勝ち抜けば……」という当時のキャッチコピーも残っており、発売当時のメーカーの自信がうかがえます。
2人プレイでは3本勝負の対戦ゲームとして楽しめます。
第8章|幻の限定版「タッグチームプロレスリングスペシャル」
本作には、一般には流通しなかった幻の限定版が存在します。
Wikipedia(Weblio辞書転載・れとげ部!)によれば、ゲームソフトに同梱されたアンケートはがきに応募して抽選で当選した600名限定に、『タッグチームプロレスリングスペシャル』が配布されるキャンペーンが実施されました。
通常版との違いは以下の通りです。
- パッケージのジャケットが異なる
- ゲーム中の音楽が異なる
- 技のかけ方が異なる
れとげ部!では「技の掛け方やBGMが通常版と違っているから、もはや別のゲーム?」とも評されており、内容の差異は単なるマイナーチェンジにとどまらないものです。600本という少数しか存在しないこの限定版は、現在のレトロゲームコレクター市場において「幻のプレミアソフト」として扱われており、もし実物が出品された場合には高値がつくことが予想されます。
第9章|後のプロレスゲームへの影響
本作がファミコン初の本格プロレスゲームとして打ち立てたシステムや方向性は、後続のプロレスゲームに大きな影響を与えました。
特に注目されるのは、だんぼーるはうすブログに記載されている「これは後にファイヤープロレスリングシリーズを作ったヒューマンの方が作ったようですね」という指摘です。後に日本を代表するプロレスゲームシリーズとなる『ファイヤープロレスリング』(1989年・PCエンジン)を生み出したヒューマンのスタッフが、本作の制作に携わっていたという関係性が一部で語られており、本作がその後の日本のプロレスゲームシーンへの源流となったことをうかがわせます。
またれとげ部!では「のちにディスクシステム版の任天堂のプロレスが発表されると全部持っていかれてしまいました」とも記されており、1986年に任天堂から発売されたディスクシステム版「プロレス」(任天堂)の完成度によって、本作がやや影に隠れることになったという歴史も残っています。しかしその「任天堂のプロレス」も、本作が切り拓いた「ファミコンでの本格プロレス体験」という可能性なくしては生まれなかったとも言えます。
まとめ|世界初のプロレスゲームの遺産を受け継いだファミコンの一本
『タッグチームプロレスリング』は、1986年4月2日にナムコからファミリーコンピュータ向けに発売されたスポーツゲームです。テクノスジャパンが開発し1983年にデータイーストからアーケードで稼働した「世界初のプロレスゲーム」『ザ・ビッグプロレスリング』を家庭用に移植した本作は、Aボタンで組み合い→Bボタン押し回数で技を選択→Aボタンで発動、という革新的なシステム、「イテー!」「ギブアップ!」の音声、2コンマイクを使ったハリセン乱入、そして600本限定の「スペシャル版」存在など、多くの記憶に残るエピソードを持っています。
ファミコンにおけるプロレスゲームの歴史を語る上で欠かすことのできない一本として、今日でもレトロゲームファンや1980年代のプロレスファンから高い注目を集めています。
本記事に記載の発売日・価格・ゲームシステム・歴史的情報は、Wikipedia(ザ・ビッグプロレスリングの項目)、Weblio辞書(Wikipedia転載)、ファミコン名作の杜、おきらくゲームソフト事典、ファミコン堂、れとげ部!、おたからおう、Amazon.co.jpレビュー、ナムコゲームカタログ(gamecatalog.net)、レトロゲームの版権曲Wiki(Fandom)に基づいております。
(出典 Youtube)
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