ダウ・ボーイ【ファミコン】徹底解説|1985年発売・ケムコFC参入第1弾の潜入ミリタリーアクションを振り返る

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はじめに|ケムコ(コトブキシステム)のファミコン参入を飾った記念碑的な一本

※記事内の画像は全てイメージです。実際の製品・写真とは異なります。

1985年12月11日、ケムコ(コトブキシステム)からファミリーコンピュータ向けに定価5,300円で発売された『ダウ・ボーイ』は、同社のファミコン向け参入第1弾タイトルとして歴史に名を刻む作品です。

原作は1984年にアメリカのSynapse Software(シナプス・ソフトウェア)がコモドール64向けに発売した同名ゲームであり、翌年コトブキシステムが日本のファミコン向けにローカライズした移植版が本作です。敵陣内の捕虜収容所に単身潜入し、24時間以内に重要人物を救出して脱出するというミリタリー系アクションゲームで、塹壕・有刺鉄線・地雷・川といった障害物をくぐり抜けながら進む構成は、後の潜入アクションゲームの先駆けとも評される設計思想を持っています。

操作の複雑さから「クソゲー」のレッテルを貼られることもありましたが、一方で「シンプルながら奥深い」「知恵を使って進む爽快感がある」として再評価の声も根強い、個性的な隠れた一本です。本記事では、基本情報から原作の背景・ゲームシステム・評価の変遷まで詳しく解説いたします。


第1章|基本情報・スペック

Wikipedia・ファミコン堂・ケムコ(コトブキシステム)FC発売一覧・名前入りカセット博物館など複数のソースで確認した基本スペックは以下の通りです。

項目詳細
タイトルダウ・ボーイ(Dough Boy)
機種ファミリーコンピュータ(FC)
発売日1985年12月11日
発売元ケムコ(コトブキシステム)
ジャンルアクション
定価5,300円(税抜)
プレイ人数1〜2人
権利表記©KEMCO 1985 ©SYNSOFT 1985

「ケムコ」はコトブキシステムのブランド名であり、現在のケムコ(株式会社ケムコ)はコトブキシステムのゲーム関連事業を引き継いだ別会社です。本作はコトブキシステムがファミコン市場に参入した最初のタイトルであり、同社がその後『スパイvsスパイ』『シャドウゲイト』などを次々とリリースしていく起点となった作品です。


第2章|原作と移植の背景|米国Synapse Softwareのコモドール64版

本作のオリジナルは、1984年にアメリカのSynapse Software(シナプス・ソフトウェア)からコモドール64向けに発売されたゲームです。コモドール64は当時の北米で圧倒的なシェアを持つホームコンピュータであり、そこで生まれたミリタリーアクションをコトブキシステムが翌1985年にファミコン向けにローカライズしたのが本作です。

注目すべき点として、ファミコン版とコモドール64版ではキャラクターデザインが異なります。コモドール64版の主人公は第一次世界大戦時の米兵をイメージしたデザインとなっているのに対し、ファミコン版は第二次世界大戦以降の米兵をイメージしたデザインに変更されています。またゲームタイトルのスペルは「Dough Boy(ダウ・ボーイ)」であり、パッケージでは「ダウ・ボーイ」と中点を入れた表記が正式です。


第3章|「ダウボーイ(Doughboy)」とは何か|タイトルの由来

「Doughboy(ダウボーイ)」とは、第二次世界大戦以前の米軍歩兵につけられていたニックネームです。その由来については諸説ありますが、有力な説のひとつとして「米墨戦争時に乾燥地帯を行軍していた米軍歩兵の顔が白い粉塵にまみれ、パン生地(Dough)のように見えた」ことを語源とするものがあります。第二次世界大戦中の米兵の愛称が「GI」と呼ばれたのと同様に、それ以前の時代の米歩兵を指す言葉として広く使われていました。

このタイトルは、ゲームの世界観である「米兵が単独で敵陣に潜入し捕虜を救出する」というミリタリーテーマを端的に示したものであり、海外発のゲームらしい命名といえます。


第4章|ストーリー|単身敵陣へ、24時間以内の救出作戦

本作のストーリーは明快です。

味方の重要人物が敵に捕らえられ、捕虜収容所に囚われています。プレイヤーが操作する主人公「ダウボーイ」は、この重要人物を救出する命令を受け、輸送機からパラシュートで武器とともに降下し、単身で敵陣内への潜入を開始します。

制限時間は24時間(ゲーム内のタイマー)。時間内に鍵を手に入れてゴールに到達するとステージクリアとなり、最終ステージで捕虜収容所から重要人物を救出するとゲームクリアとなります。

ゲームボーイ版といった派生はなく、ファミコン版のみの単独タイトルです。「敵陣に一人で潜入し、要人を救出して脱出する」というミッション構成は、後の1987年発売の『メタルギア』(コナミ)に代表される潜入アクションゲームのテーマと通じるものがあり、本作発売当時としては先進的な設計とも評されています。


第5章|ゲームシステム詳細|多彩な障害と2人協力プレイ

全5ステージの構成

本作は全5ステージで構成されており、エンディングはなくクリア後はループします。各ステージはタイマーがゼロになる前に鍵を手に入れてゴールを目指す形式で、タイマー切れや敵の攻撃に接触するとワンミス、ストックをすべて失うとゲームオーバーとなります。

多彩な障害物

各ステージにはさまざまな障害が配置されています。

塹壕:第一次世界大戦をモチーフにした塹壕が随所に登場し、突破するには工夫が必要です。

有刺鉄線:ハサミではなくダイナマイトで突破します。この仕様を知っているかどうかで攻略の難易度が大きく変わります。

地雷:ダイナマイトを使って起爆させながら前進します。導火線の長さがランダムで変わることがあり、短い導火線のダイナマイトを使ってしまい自爆するケースも発生します。

(ステージ2):主人公のダウボーイは泳げないという設定になっており、川に落ちるとミスとなります。

壁と戦車:ダイナマイトの爆破タイミングを動いている戦車に合わせて爆破するなど、シチュエーションごとの判断が求められます。

攻撃手段

主な攻撃手段は以下の2種類です。

マシンガン:主人公の基本武装。弾数制限はなく、8方向に撃つことができます。Aボタンを押しながら十字キーで方向を入力するのがコツです。

ナイフ(体当たり):敵に体当たりすることで倒せる仕組みで、これはナイフを使っている設定となっています。銃撃で倒した場合100点、体当たりで倒した場合は50点の得点となります。

その他、ダイナマイトが重要なアイテムとして登場します。有刺鉄線の突破・地雷の起爆・戦車の破壊など、多目的に活用するダイナマイトの扱い方が本作攻略の核心となっています。

2人協力プレイ

本作では2人協力プレイが可能で、1人が兵士(ダウボーイ)を、もう1人がミサイルを操作して進む形式となっています。1985年当時のファミコンソフトとしては珍しい協力プレイへの対応であり、友人や兄弟と一緒に楽しめる設計がなされていました。


第6章|発売当時の評価と「クソゲー」論争

本作は発売当時、「操作が複雑」という点で多くのプレイヤーを困惑させました。マシンガンの8方向射撃にAボタン+十字キーの組み合わせが必要な点、ダイナマイトの導火線の扱い方が直感的でない点など、当時の子供プレイヤーには習得のハードルが高かった側面がありました。このことから、ファミコン初期のいわゆる「クソゲー」ソフトのひとつとして語られることも少なくありませんでした。

一方で、実際に操作に慣れてプレイすると「有刺鉄線をダイナマイトで突破する」「動く戦車に爆破タイミングを合わせる」「ミサイルをかわしながら進む」といった、知恵と反射神経を組み合わせたゲームプレイが展開されます。BGMも雰囲気があり、単純な連射ゲームではない戦略性を評価する声も根強く、「実は隠れた良ゲー」「シンプルながら奥深い」として再評価されている経緯もあります。


第7章|コトブキシステム(ケムコ)という会社|ファミコン参入の背景

本作の発売元であるコトブキシステム(ケムコ)は、1984年に寿工業の子会社コトブキ技研工業が母体となって設立された日本のソフトウェア会社です(本社:広島県呉市、東京都内にも所在地があった時期あり)。

1985年より家庭用ゲーム機に参入し、海外製ゲームのローカライズを主軸に展開しました。本作はその参入第1弾であり、以降も『スパイvsスパイ』(1986年)、『シャドウゲイト』(1989年)、『ノース&サウス わくわく南北戦争』(1990年)など、主に海外タイトルのローカライズ作品をファミコン向けに発売し続けています。

後に会社の再編に伴い、ゲーム関連事業は株式会社ケムコ(家庭用ゲーム・周辺機器担当)と株式会社コトブキソリューション(モバイルゲーム担当)に引き継がれています。本作の権利表記「©KEMCO 1985 ©SYNSOFT 1985」は、ケムコが日本向け版権を持ち、Synapse Software(略称:SYNSOFT)がオリジナルの権利を持っていることを示しています。


第8章|現在のレトロゲームとしての価値

定価5,300円で発売された本作は、現在のレトロゲーム市場では中古カートリッジ単体であれば比較的手頃な価格で流通していることが多い一方、箱・説明書付きの完品はやや希少です。バーチャルコンソールなどデジタル配信での再販は行われておらず、プレイするには実機が必要です。

ファミコン初期(1985年)の作品として、また「ケムコ(コトブキシステム)のファミコン参入第1弾」という歴史的な意義を持つタイトルとして、レトロゲームコレクターの間では一定の注目を集めています。「潜入アクションゲームの源流」という視点から改めて触れてみると、当時の開発者たちの試行錯誤と工夫が伝わってくる一本です。


まとめ|ファミコン初期の潜入アクション、その先進性を今こそ見直す

『ダウ・ボーイ』は、1985年12月11日にケムコ(コトブキシステム)からファミリーコンピュータ向けに定価5,300円で発売されたアクションゲームです。1984年にアメリカのSynapse Softwareがコモドール64向けに開発したオリジナル版をファミコンに移植した本作は、コトブキシステムのFC参入第1弾でもあります。

24時間以内に捕虜を救出するというミッション設計、有刺鉄線をダイナマイトで突破する発想、8方向マシンガン、2人協力プレイへの対応など、1985年のファミコンソフトとしては多くの要素を詰め込んだ意欲的な一本です。操作の複雑さがハードルになった側面はありますが、慣れれば十分な爽快感と戦略性が楽しめる、レトロゲームとして再発見の価値がある作品といえます。


本記事に記載の発売日・価格・ゲームシステム・権利表記・スタッフ情報は、Wikipedia(ダウボーイの項目・コトブキシステムの項目)、ファミコン堂、ケムコ(コトブキシステム)FC一覧(note)、名前入りカセット博物館、ファミコンゲームカタログ、RETRO GAME CATALOGに基づいております。

(出典 Youtube)


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