
1. 市場での位置づけ

このゲームは、実質的に前作『黙示録』のバージョンアップ版といえる内容であり、当初は「悪魔城ドラキュラ黙示録2(仮称)」として発表されていました。販売時期には、高性能なメモリー拡張パックに対応し、短期間ながらも進化を遂げたNINTENDO64のハードウェアの特性を活かしています。
本作は『黙示録』と同じ3Dアクション形式のシステムを持ちながら、ステージや音楽に新規要素を含み、各キャラクターの能力も改良されています。特に、主人公のコーネルは、人狼の特殊能力を生かし、物語の軸として新たな魅力を引き出しています。この点で本作は、NINTENDO 64市場において既存のファン層だけでなく、新規プレイヤーの興味も引きつけることを狙っています。
市場における本作の位置づけは、売上面においてシリーズの中核としての地位を築くことはなかったものの、視覚的なインパクトや新シナリオの追加による新鮮さで評価を得ました。特に、メモリー拡張パックによる高解像度モードの提供は、他のゲームでは見られない革新性を持たせ、ファンや批評家からはそれなりの支持を受けました。しかし、より広範なユーザー層には届かず、ニッチな市場での存在感に留まりました。それでも本作は、NINTENDO 64上での試みがいかに多様で挑戦的であったかを証明するタイトルの一つとして記憶されています。
2. ゲームの目的とシステム

この作品は、前作『悪魔城ドラキュラ黙示録』から8年前を舞台に、新たな視点で物語を楽しむことができます。
ゲームの目的は、ドラキュラの復活を阻止し、連れ去られた妹エイダを救出することです。
プレイヤーは、コーネルが持つ獣人能力を駆使して、ドラキュラの城を探索します。
特殊能力である人狼への獣化は、戦闘の要であり、一時的に攻撃力を大幅に向上させることが可能です。
ステージには謎解きや探索要素も盛り込まれており、アクションだけでなくアドベンチャーゲームとしての楽しさも味わえます。
また、新しいステージや改良された地形・仕掛けがプレイヤーを飽きさせません。
ゲームの中では、プレイヤーの選択次第で異なるシナリオルートを辿ることができ、それぞれ『ヘンリー編』『ラインハルト編』『キャリー編』という多様なストーリーが用意されています。
この複数のシナリオが、より深いゲーム体験を提供してくれます。
さらに、メモリー拡張パックを使用してハイレゾモードを選択することで、通常よりも鮮明でクリアなグラフィックを楽しむことができますが、フレームレートの低下には注意が必要です。
高解像度でのプレイによる視覚的な迫力もこのゲームの魅力の一つです。
3. ストーリーの背景とキャラクター

この作品は、ゴシックホラーの要素を持ちつつ、多様なキャラクターシナリオを体験することができる点が特長です。プレイヤーは、コーネル編の他にも、「ヘンリー編」「ラインハルト編」「キャリー編」といった4つのシナリオから選択し、それぞれの目的に沿ってゲームを進行します。
物語は1844年を舞台にしており、ドラキュラが再び甦るという陰謀の真相を追求するものです。コーネル編では、その解決のために彼が挑む数々のミッションが描かれ、プレイヤーは彼の物語を通じて、ドラキュラの陰謀に立ち向かいます。
一方、ヘンリー編ではドラキュラの城に連れ去られた子供たちを救出する任務が与えられます。彼は東方正教会から派遣された兵士であり、特殊な銃を武器に、7日以内に子供たちを見つけ出す必要があります。このシナリオは探索要素も豊富で、プレイヤーは子供たちに隠された特典を見つけ出すことができます。
4. キャラクター毎の特殊能力と武器

主要な主人公であるコーネルは、このゲームにおいて特別な存在です。
彼は人狼に変身するという希少な能力を持っており、この形態では戦闘力が大幅に向上します。
変身中は高い攻撃力を発揮するため、敵の大群を効率よく撃退することが可能です。
ただし、獣化にはジュエルが必要で、持続時間が限られるため、タイミングを見極めて使用することが重要になります。
また、このゲームでは4人のキャラクターすべてが共通のサブウェポンを使用できます。
これには短剣、斧、聖水、クロスが含まれ、いずれも特定の状況下で役立つ武器となっています。
これらのサブウェポンは複数集めることで3段階まで強化可能であり、プレイヤーがどのようにプレイスタイルを選ぶかによってその効果が大きく変わります。
特異な例として、サブキャラクターのヘンリーは離れた敵も射程に収めることのできる銃を持ち、探索される大きなステージで有利に立ち回ることができます。
彼の目的は独自で、ドラキュラの城から子供たちを救出することです。
これは他のキャラクターの物語とは大きく異なる点で、プレイヤーに別の視点でゲームを楽しむ機会を提供してくれます。
ラインハルトとキャリーに関しては、過去作『黙示録』の要素を引き継ぎつつ進化した形となっており、前述のような個性的な武器のアップグレードが施されています。
特に前作では見られなかった新たなグラフィックや改良されたステージデザインにより、より深くその世界に没入することができるでしょう。
5. 最後に

特筆すべきは、ゲームシステムの多様化と細部の改良がなされた点です。プレイヤーは、獣人に変身できるコーネルをはじめとした全4キャラクターとシナリオルートから選択可能という、選べる物語を体験できます。この自由度は、プレイヤーに異なる視点からのアプローチを楽しませ、ゲームクリア後も再びプレイしたくなる魅力を提供しています。特に、コーネル編ではドラキュラ復活の謎を解明するための冒険が描かれ、妹エイダの救出がメインストーリーとなっています。プレイヤーは彼の特殊能力である獣化を駆使し、ドラマティックな体験を味わうことができます。
また、特に注目されるのは、グラフィック面でのメモリー拡張パックの対応です。高解像度モードとノーマルモードの選択で、鮮やかな画質を求めるか、滑らかな動きを優先するかを選べるのは、当時としては革新的でした。これにより、プレーヤーは自分好みのゲームスタイルでプレイすることが可能になります。ただし、ハイレゾモードではフレームレートの低下が見られ、カクカクした動きがプレイに影響を及ぼすこともあります。