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1985年11月28日にサンソフトから発売されたファミコンソフト『いっき』は、江戸時代の百姓一揆をテーマにした異色のアクションゲームです。農民が主人公という当時としては珍しい設定に加え、忍者や幽霊といった現実離れした敵が登場する独特な世界観で、発売から40年近く経った今も語り継がれています。本記事では『いっき』の基本情報からゲームシステム、そして「クソゲー」と呼ばれるようになった背景まで、事実に基づいて詳しく紹介します。
1.『いっき』の基本情報
『いっき』は1985年11月28日にサンソフト(サン電子)からファミコン用ソフトとして発売されたアクションゲームです。ジャンルはアクションに分類され、江戸時代を舞台にした痛快な時代劇として制作されました。プレイヤーは農民の「ごんべ」を操作し、2人同時プレイの場合はもう一人のプレイヤーが「たご」を操作します。生活苦に苦しむ農民たちが一揆を起こし、悪代官の屋敷を目指して殴り込みをかけるというストーリーが土台になっています。派手な演出や複雑なシステムに頼らず、シンプルな操作性の中に強烈な個性を詰め込んだ点が、本作最大の特徴といえるでしょう。
2.アーケード版から誕生した背景
『いっき』はもともとサン電子が開発したアーケード用のアクションシューティングゲームとして、1985年7月に稼働を開始した作品です。同年11月28日にファミコン版が発売され、その後も複数のプラットフォームに移植されていきました。アーケードでの稼働からわずか数ヶ月でファミコン版が登場したスピード感は、当時のゲーム業界の勢いを感じさせます。百姓一揆という珍しいテーマをアクションゲームに落とし込んだ点は、同時期のゲームの中でも異彩を放つ試みだったといえます。
3.舞台となった「一揆」というテーマ
タイトルにもなっている「一揆」とは、室町時代中期以降、支配者による圧政に反抗した農民などが徒党を組んで起こした武装蜂起を指す言葉です。『いっき』はこの歴史的な出来事をモチーフにしながらも、実際の一揆とは異なり、プレイヤーキャラクターであるごんべとたごの2人だけで代官の屋敷に立ち向かうという構成になっています。仲間の農民が一人も登場しないにもかかわらず、敵として忍者や幽霊が現れるという設定は、荒唐無稽ながらもどこかコミカルな味わいを生み出しています。歴史的なテーマを扱いながらも、シリアスになりすぎない絶妙なバランス感覚が、本作の個性を形づくっています。
4.基本ルールとゲームシステム
プレイヤーの攻撃手段は「鎌」で、Aボタンを押すと自動追尾する軌道で鎌を投げて敵を倒します。フィールド上に散らばる小判を8枚集めるか、ランダムに出現する代官を捕まえるとステージクリアとなる仕組みです。ステージは表と裏でそれぞれ4面ずつ、合計8面で構成されており、これを2周することでゲーム全体を通してのクリアとなります。敵として登場する忍者の中には通常の3倍の速さで迫ってくるものもおり、捕まると一定時間動けなくなる腰元にも注意が必要です。プレイヤーに取り憑いてくる幽霊は、お地蔵様に触れることで祓うことができます。武器である鎌は投げてしまうと手元からなくなる使い捨てのアイテムであり、フィールドに落ちている竹やりを拾うと一時的に武器が竹槍に変わりますが、鎌に比べて扱いにくいという声も聞かれます。
5.登場するアイテムと特殊システム
フィールドには様々な効果を持つアイテムが配置されています。一定時間だけ武器が竹槍に変わるアイテムのほか、移動速度が速くなる大根、1UPできる巻物、一定時間分身して無敵になる葉っぱなど、種類は豊富です。中でも特徴的なのが「煙草」というアイテムで、これを取ると体が煙に包まれてチャレンジステージに転送され、空から降ってくるおにぎりをキャッチして得点を稼ぐことができます。このおにぎりをキャッチする演出は、後のサンソフト作品にも受け継がれる同社の定番要素になりました。数あるファミコン初期タイトルの中でも、これほど多彩なアイテムシステムを備えた作品は珍しく、単純に見えるゲーム性の裏にしっかりとした作り込みがあることがうかがえます。
6.周回システムとエンディングの不在
『いっき』には明確なエンディングやスタッフロールが存在しません。表8面・裏8面の合計8面を2周してパスワードを入手する仕組みが用意されているものの、クリア後は再び最初の面に戻り、延々とゲームが続いていきます。この終わりのない構造は、当時のアクションゲームとしてはやや珍しい部類に入ります。ステージ数自体は多くないため、繰り返しプレイして各面の構造を覚えていけば早い段階で全面クリアにたどり着けますが、その先に用意された明確な「ゴール」がないという点が、プレイヤーの印象に強く残る要素となっています。
7.「クソゲー」と呼ばれるようになった理由
前述の通りエンディングが存在せず単調な繰り返し構造になっていることに加え、農民が主人公なのに敵として忍者が現れるという荒唐無稽な世界観が当時から話題となりました。イラストレーターのみうらじゅんさんが本作を評した言葉が「クソゲー」という呼び方の語源になったと語られています。一方で、奇抜な世界観やどこかとぼけた音楽を楽しむファンからは、単なる駄作ではなく「バカゲー」として愛される一面も持っています。欠点すらも個性として受け止められ、長年にわたって語り草になっている点は、本作の懐の深さを物語っているといえるでしょう。
8.移植・復刻の歴史
『いっき』はファミコン版の発売以降も、時代を超えて複数の形で復刻されてきました。2001年にはパソコン向けのWindows版として復活し、当時のファミコンゲームがパソコンで遊べる形でよみがえりました。さらに2013年2月13日には、ニンテンドー3DSのバーチャルコンソールとして配信が開始され、当時を知らない世代でも手軽に遊べる環境が整いました。発売から数十年を経てもなお新しいプラットフォームで遊べる状態が保たれていることは、本作が単なる過去の一本ではなく、今なお需要のあるタイトルであることの証といえます。
9.登場する敵キャラクターの個性
『いっき』に登場する敵は、忍者や腰元、幽霊、そして代官といった多彩な顔ぶれです。農民の一揆というテーマからすると、対峙する相手は代官の家来や武士であることが自然に思えますが、実際には忍者が主力の敵として次々に襲いかかってきます。腰元は捕まると一定時間動けなくなるという厄介な性質を持ち、幽霊はお地蔵様に触れることで祓うという、アクションゲームとしては珍しい対処法が用意されています。こうした現実離れした敵の組み合わせが、真面目な歴史テーマとコミカルな演出のギャップを際立たせ、プレイヤーに強い印象を残す要因になっています。
10.発売から40年近く経った今も語り継がれる理由
『いっき』は荒唐無稽な設定とシンプルながら中毒性のあるゲーム性を併せ持ち、レトロゲームファンの間で今も根強い人気を誇ります。農民が主人公という発想の転換や、忍者や幽霊といった予想外の敵の存在は、他のファミコン初期タイトルにはない独自の個性として記憶されています。ファミコン黎明期を代表する一本として、当時を知る世代には懐かしさと共に、そして知らない世代には新鮮な驚きと共に、これからも語り継がれていく作品だといえます。
(出典 Youtube)
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