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角川映画とのタイアップ企画としてファミコンに登場した「時空の旅人」をご存じでしょうか。1986年12月26日にケムコから発売されたこの作品は、主人公が歴史上の人物と対話しながら未来を変えていくという独自のシステムを持つアドベンチャーゲームです。今回は発売当時の基本データから、原作映画との関係、ゲームシステムの特徴、登場人物まで、当時を知る世代にも懐かしんでいただける内容でまとめました。
1. 「時空の旅人」の基本情報
「時空の旅人」は1986年12月26日にケムコから発売されたファミリーコンピュータ用ソフトです。開発はコトブキシステムが担当し、ジャンルはアドベンチャーに分類されます。定価は4,900円(税別)で、当時の年末商戦に合わせてリリースされました。
同じ12月26日には「クレイジー・クライマー」や「アルカノイド」といったタイトルも発売されており、年末年始に向けてソフトが集中的に投入されていた時期であったことがうかがえます。
2. 原作となったアニメ映画との関係
本作は1986年12月20日に公開された同名のアニメ映画を題材にした作品です。映画の原作は眉村卓先生のSF小説「とらえられたスクールバス」で、映画の監督と脚本は真崎守監督が手がけ、キャラクターデザインは萩尾望都先生が担当しました。配給には東宝が関わり、当時勢いのあった角川グループのメディアミックス企画の一つとして展開されています。
同名の主題歌も制作され、竹内まりやさんのシングルが関連商品として発売されるなど、映画・音楽・ゲーム・書籍が同時期に店頭へ並ぶ、当時ならではの大掛かりな宣伝展開が行われました。書籍としては、林友彦先生によるゲームブック版も角川文庫から同年に刊行されています。
ただし、ゲーム版のストーリーは映画の筋書きをそのままなぞったものではありません。映画のキャラクターや設定の一部を借りながらも、ゲームオリジナルの展開が用意されている点が特徴です。
3. ゲームシステムの特徴
プレイヤーが操作するのは、星暦392年のネオ・トウキョウ政府に所属する時空管理局員、クタジマ・トシトです。彼の生きる未来は人類が核戦争という過ちを犯した後の世界であり、その歴史を平和なものに変えるべく、過去への逃亡者を追うという名目でタイムマシンに乗り込み、戦国時代をはじめとする様々な時代へ向かいます。
ゲームの進行方法は非常にシンプルで、画面に登場する人物からの問いかけに対して「はい」か「いいえ」のどちらかを選ぶだけというコマンド選択式です。選択の積み重ねによって歴史の方向性が変化し、「金が支配する歴史」「食が支配する歴史」「愛が支配する歴史」など、複数の結末へとつながっていく仕組みになっています。
一方で、移動シーンではタイムマシンから放たれる光の輪のようなものにキャラクターを重ねる操作が必要で、これがうまくいかないと時代に取り残されてゲームオーバーになってしまいます。また、相手の機嫌を損ねるような回答をすると即座に処刑されるようにゲームオーバーとなるほか、タイムマシンの燃料切れでもゲームオーバーになるなど、当時としてもシビアな難易度設定であったことがうかがえます。
4. パッケージと英題「タイムストレンジャー」
パッケージには英題として「タイムストレンジャー」の表記も掲げられていましたが、実際に海外向けに発売されることはなく、公式な翻訳版が作られることもありませんでした。あくまで日本国内限定のタイトルとして展開された点も、当時の角川メディアミックス作品らしい特徴といえます。
なお、パッケージイラストには映画版の主人公である早坂哲子が大きく描かれていましたが、ゲーム本編に彼女が登場する場面はありません。パッケージと実際のゲーム内容にギャップがある点も、当時のプレイヤーの間で話題になった部分です。
5. 登場する歴史上の人物たち
本作では、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康、西郷隆盛、伊藤博文、近藤勇といった、日本史でおなじみの人物たちが次々と登場します。プレイヤーはこうした人物との「はい・いいえ」だけのやり取りを通じて、彼らの考え方や行動に影響を与え、歴史を書き換えていくことになります。
例えば、徳川家康と石田三成が雑煮の味付けについて言い合う場面や、新選組局長であった近藤勇が借金返済のために皿洗いをしているという場面など、史実とはかけ離れたユーモラスなやり取りが多数用意されています。緊張感のあるタイムトラベルものというよりは、コミカルな会話劇としての側面が強い内容になっている点も、本作を語るうえで欠かせない要素です。
一方で、こうした人物との会話の中で相手を不快にさせる回答を選んでしまうと、その場で処刑されてゲームオーバーになる展開も用意されており、コミカルさとシビアさが同居している点も本作らしい持ち味といえます。
6. マルチエンディングと高い難易度
本作は当時のファミコンソフトとしては珍しく、複数の結末を持つマルチエンディング制を採用していました。プレイヤーの選択次第で歴史がどの方向に偏っていくかが変わり、それぞれに応じたエンディングへとたどり着く仕組みです。数ある結末の中でも、完全な平和な未来へとつながる真のエンディングは一種類のみとされています。
ただし前述の通り、些細な選択ミスでもすぐにゲームオーバーになってしまうため、正解を探り当てるのは簡単ではありません。ヒントとなる情報も少なく、手探りで進めていく必要があるため、当時のプレイヤーの間でも難易度の高さが話題になっていました。
7. 当時の評価とその後
「時空の旅人」は角川映画の話題性を背負って発売されたタイトルですが、ゲーム内容自体はシンプルな「はい・いいえ」選択に終始する点や、理不尽に感じられるゲームオーバーの多さから、発売当時から賛否の分かれる作品として語られてきました。歴史上の人物との掛け合いというアイデア自体には独自の面白さがある一方で、原作映画のストーリーとの関連性の薄さを指摘する声も見られます。
とはいえ、映画・主題歌・ゲームブック・ゲームソフトという複数のメディアが同時に展開されたこと自体が、角川商法と呼ばれた当時ならではのメディアミックス戦略を象徴する一例といえるでしょう。ファミコン黎明期における多彩なタイアップ企画の一つとして、今なお当時を知るファンの間で話題にのぼる作品です。
8. まとめ
「時空の旅人」は、1986年12月26日にケムコから発売された、アニメ映画とのタイアップによるアドベンチャーゲームです。時空管理局員クタジマ・トシトを操作し、歴史上の人物との「はい・いいえ」のやり取りを通じて未来を変えていくというユニークなシステムを持ちながらも、高い難易度とシビアなゲームオーバー条件が印象に残る一本となっています。角川メディアミックスの熱量を今に伝える作品として、ファミコン黎明期を振り返る際にはぜひ押さえておきたいタイトルです。
(出典 Youtube)
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