はじめに|すべては「くにお」から始まった
※記事内の画像は全てイメージです。実際の製品・写真とは異なります。
1986年5月、テクノスジャパンが開発しタイトーから稼働されたアーケードゲーム『熱血硬派くにおくん』は、ベルトスクロールアクションというジャンルの「始祖的作品」として、ゲーム史に確かな足跡を残した一本です。
駅のホーム・湾岸の埠頭・夜の盛り場・そして暴力団事務所前——これほど1980年代の日本の「ツッパリ文化」をリアルに再現したゲームは、当時ほかにありませんでした。「正義の不良」くにおが、親友ヒロシのために単身で悪の組織へと乗り込んでいくというシンプルな設定ながら、画面内に集団で現れる敵を素手で殴り倒す爽快感と、銃弾や刃物が飛び交う最終ステージの緊張感は、当時のゲームセンターで絶大な支持を集めました。
ゲームデザインを手掛けたのは、後に『ダブルドラゴン』シリーズを生み出した岸本良久さんです。氏の高校時代の実体験がゲームのコンセプトの原点となっており、そのリアリティがゲームの空気感を唯一無二のものにしています。本記事では、アーケード版の全貌から家庭用移植・現在のプレイ環境まで、詳しく解説いたします。
第1章|基本情報
Wikipedia・くにおくんシリーズWikipedia・テクノスジャパンポータルサイト(アークシステムワークス運営)・ハムスター社アーケードアーカイブス公式など複数の公的ソースで確認した基本情報は以下の通りです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイトル | 熱血硬派くにおくん |
| 海外版タイトル | RENEGADE(レネゲード) |
| ジャンル | ベルトスクロールアクション |
| 稼働開始 | 1986年5月 |
| 開発 | テクノスジャパン |
| 稼働(アーケード) | タイトー(日本国内) |
| プレイ人数 | 1〜2人(交互プレイ) |
| ゲームデザイン | 岸本良久さん |
| キャラクターデザイン | 緒方孝治さん |
テクノスジャパンポータルサイト(現アークシステムワークス運営)にも「AC 1986年5月」として記録されており、稼働月は複数の公的ソースで一致して確認されています。
第2章|「くにお」という名前の由来|社長の名前から生まれたキャラクター
本作の主人公「くにお」の名前には、意外な由来があります。
くにおくんシリーズWikipedia(Weblio辞書転載)によれば、「ゲームのコンセプトに据えられた『ケンカ』のアイデアは、岸本自身が喧嘩に明け暮れたという学生時代の実体験が原点となっている。また、主人公・『くにお』の名は、当時のテクノスジャパン社長『瀧邦夫(たき くにお)』に由来している」とのことです。
また、テクノスジャパン(ゲーム会社)Wikipediaには「当初は『熱血硬派』のタイトルで開発を進めたが、堅すぎるという理由で名前を付けることになった。熟考した結果、社長の名である『くにお(邦夫)』を拝借したという」と記されています。
ゲームデザインを手掛けた岸本良久さんの自身の学生時代の体験が作品の核心にあり、そこに社長の名前が主人公として刻まれるという、テクノスジャパンらしい人間味あふれる制作エピソードです。
キャラクターデザインは、同社のアーケードゲーム『エキサイティング・アワー』(1985年)などを手掛けた緒方孝治さんが担当しています(Wikipedia記述より)。
第3章|ストーリー|ヒロシへの義侠心、くにおの孤独な戦い
Wikipediaおよびアーケードアーカイブス公式サイトで確認できるストーリーの概要は以下の通りです。
熱血高校の生徒であるいじめられっ子のヒロシは、同校に転校してきた硬派な不良・くにおと親友になります。ある日、ヒロシは何者かに襲われてしまいます。くにおは彼を助けるべく、たった一人で悪党どものもとへと乗り込んでいきます。
全ステージを通じて、毎回ステージ開始前にヒロシが殴られるデモが挿入され、くにおが「待て この野郎!」と叫びながら追いかけるという演出が繰り返されます。仲間を傷つけた者を絶対に許さないというくにおの義侠心が、プレイヤーを戦いへと駆り立てる動機となっています(攻略サイト「ひまつぶし」より)。
第4章|ゲームシステム詳細|時間制限・左右攻撃・立体的な動き
操作体系|左右攻撃ボタン+ジャンプボタン
本作の操作は、8方向スティックに加えて「左攻撃ボタン・右攻撃ボタン・ジャンプボタン」の3ボタン構成です。
後のくにおくんシリーズやダウンタウンシリーズとは異なり、「パンチボタン」「キックボタン」という独立したボタン割り当てではなく、「向いている方向の攻撃ボタン」がパンチに相当する攻撃、「向いていない方向の攻撃ボタン」がキックに相当する攻撃となる、方向依存の操作体系です(攻略サイト「ひまつぶし」より)。この操作体系は後の『ダブルドラゴンII ザ・リベンジ』(1988年)にも受け継がれています。
使用できる技
プロジェクトEGG公式サイトおよび攻略サイト「ひまつぶし」で確認できる主な技は以下の通りです。
パンチ:くにおが向いている方向の攻撃ボタンで出る基本攻撃。3回ヒットでダウン。
キック:向いていない方向の攻撃ボタンで出る。2回ヒットでダウン。
ジャンプキック:ジャンプ中の攻撃。1回で怯み状態へ。
ダッシュ体当たり:スティック2回入力で走り、そのまま体当たり。
掴み・膝蹴り:敵に密着して攻撃することで掴み状態になり、膝蹴りを連続で入れられる。
投げ:掴み状態から逆向きの攻撃ボタンで発動。威力が高く、近くの敵を巻き込める。
時間制限とライフ・残機制
ゲームはライフ制と残機制を併用した時間制限付きのステージ制です。Wikipediaによれば「体力が0になるとダウンする、ステージ1と2で穴に落下する、ステージ4でドスや拳銃の攻撃を受ける、時間切れになると1ミスとなる」という複合的なミス条件が設けられています。
プレイヤーキャラクターがステージの端(穴・海・ホーム下)に落ちると即ミスとなりますが、逆に敵をその位置まで追い込んで落とすと即死させることもできます。
第5章|全4ステージの構成|1980年代日本の「ツッパリ」を体現したステージ群
本作は全4ステージのループゲームです。Wikipedia・プロジェクトEGG公式・ゲーム文化保存研究所の記述で確認できる各ステージの概要は以下の通りです。
ステージ1|駅のホーム
花園高校の不良たちと駅のホームで闘います。ボスは「りき」。ステージ右端のホーム下に敵を突き落とすと即死させられますが、自分も落ちると1ミスとなります。
ステージ2|湾岸・埠頭
暴走族と湾岸地帯で闘います。ボスは「しんじ」。ステージ左端の海に敵を落とすと一発で倒せます。こちらも落下は即ミスです。
ステージ3|夜の盛り場
場末の盛り場のような夜の街でスケバン(女番長)たちと戦います。1980年代の日本のヤンキー文化を色濃く反映したステージです。
ステージ4|暴力団事務所前
ラスボスは「さぶ」。このステージの敵となる暴力団員はドスや拳銃を持っており、拳銃による銃弾は命中すると即死という過激な仕様となっています。素手の不良が武器を持つ「本職」と戦うというぶっ飛び具合が、当時のプレイヤーを驚かせました。なお最後の1人を倒すと事務所内へ乗り込む演出が挿入されます。
第6章|ベルトスクロールアクションの「始祖」としての評価
本作はゲーム史において「ベルトスクロールアクションゲームの始祖的作品」として広く認識されています。
WikipediaおよびFandomの記述によれば「後の同ジャンル作品と異なり限られた範囲内での横スクロールのみだが、画面内に集団で出現する敵相手に格闘を駆使して立ち回り戦うという基礎的な部分は既に確立されており、同ジャンルの始祖的な作品として認識されている」「一対多人数の格闘を題材にしたアクションゲームの先駆け」と評されています。
本作のゲームシステム・世界観は同じ岸本良久さんの手によってさらに発展し、翌1987年に同社の代表作『ダブルドラゴン』が誕生します。『ダブルドラゴン』はベルトスクロールアクションというジャンルを「確立」した作品として知られていますが、その礎を最初に築いたのが本作『熱血硬派くにおくん』です。そしてこの流れは後の名作『ファイナルファイト』(カプコン、1989年)や『ベアナックル』シリーズ(セガ、1991年〜)にも連なっています。
第7章|海外版『RENEGADE』との違い
本作は日本国外では「RENEGADE(レネゲード)」というタイトルで稼働されました。
Wikipedia(熱血硬派くにおくんの項目)によれば「日本国外版は『RENEGADE』とタイトル名が変更され、ほとんどの登場人物のグラフィックも変更されている」とのことです。舞台や世界観を欧米向けにローカライズした内容となっており、日本版の「ツッパリ高校生・暴走族・スケバン・ヤクザ」という独特の文化的背景は置き換えられています。発売元はタイトーアメリカです。
海外では1987年から1989年にかけてアムストラッドCPC・ZXスペクトラム・コモドール64・アタリST・アミーガなど各種パソコンに移植されたほか、1993年には欧州でのみセガ・マスターシステムへも移植されました(Wikipedia記述より)。
第8章|各プラットフォームへの展開と現在のプレイ環境
ファミリーコンピュータ版(1987年4月17日)
テクノスジャパンより発売されたFC版は、くにおくんシリーズWikipediaに「熱血硬派くにおくん/FC/1987年4月17日」と記録されています。ステージ1のホームでの戦闘で電車内での戦いシーンが追加されるなど、アーケード版とは異なるアレンジが加えられています(Wikipedia記述より)。ハードの制約上、アーケード版とはかなり異なる内容となっているため、ゲーム文化保存研究所の記事では「アーケード版とほぼ同じものを楽しみたいなら、PS4やNintendo Switch向けのアーケードアーカイブス版がおすすめ」と紹介されています。
Wiiバーチャルコンソール(2012年3月6日)
くにおくんシリーズWikipediaの記録によれば、2012年3月6日にWiiバーチャルコンソールにてアーケード版が配信されました。
PS4アーケードアーカイブス(2014年7月24日)
ハムスター社のアーケードアーカイブスシリーズとして2014年7月24日よりPS4向けに配信が開始されています(くにおくんシリーズWikipedia・ハムスター社公式サイトより)。ディップスイッチ設定の再現など、当時のアーケード版を忠実に再現した内容となっています。
Nintendo Switchアーケードアーカイブス
Nintendo Switch向けにもアーケードアーカイブス版が配信されており、現代の環境でオリジナルのアーケード版を楽しめます。
まとめ|40年後の現在も色あせない、くにおくんシリーズの原点
『熱血硬派くにおくん』は、1986年5月にテクノスジャパンが開発しタイトーから稼働されたアーケード用ベルトスクロールアクションゲームです。岸本良久さんのゲームデザインのもと、社長の名を冠した主人公「くにお」が1980年代の日本のツッパリ文化を体現した4つのステージで悪党たちと戦うというシンプルかつ力強いゲーム性は、当時のゲームセンターで大きな支持を集め、シリーズ化への道を開きました。
「始祖的作品」としてジャンルの礎を築き、翌年の『ダブルドラゴン』(1987年)へとバトンを渡した本作の存在なくして、現代のベルトスクロールアクションの歴史は語れません。現在はアーケードアーカイブスでPS4・Nintendo Switchで手軽にプレイできますので、ゲーム史の原点を体感してみてください。
本記事に記載の稼働年月・ゲームシステム・キャラクター・スタッフ情報・移植版情報は、Wikipedia(熱血硬派くにおくんの項目・くにおくんシリーズの項目・テクノスジャパンの項目)、テクノスジャパンポータルサイト(アークシステムワークス運営)、ハムスター社アーケードアーカイブス公式サイト、プロジェクトEGG公式サイト、ゲーム文化保存研究所、攻略サイト「ひまつぶし」に基づいております。
(出典 Youtube)
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