はじめに|衝撃のオープニングから始まる「復讐」の物語
※記事内の画像は全てイメージです。実際の製品・写真とは異なります。
1988年、テクノスジャパンが開発したアーケードゲーム『ダブルドラゴンII ザ・リベンジ』(DOUBLE DRAGON II: THE REVENGE、双截龍II)は、前作『ダブルドラゴン』(1987年)の直接の続編として稼働を開始した横スクロールベルトスクロールアクションゲームです。
本作の最大の衝撃は、そのオープニングにあります。前作でビリーとジミーのリー兄弟が命がけで救出したはずのマリアンが、ブラック・ウォリアーズのボス「ウィリー」に冒頭で銃撃され命を落とすという、当時のゲームとしては異例の展開がプレイヤーを出迎えます。「復讐(リベンジ)」という副題が示す通り、本作のゲーム全体が「マリアンの弔い合戦」という重いテーマに貫かれており、前作とは一線を画したダークで引き締まった雰囲気が特徴です。
任天堂公式オンラインストア(マイニンテンドーストア)や PlayStation公式ストアのアーケードアーカイブス版紹介文には「恋人の仇を討つため、双截拳の使い手ビリーとジミーが謎の武装集団に挑みます。前作より多彩な技を繰り出せるようになり、パワーアップした乱闘戦が楽しめます」と記されており、本作の本質を端的に表しています。
第1章|基本情報
英語版Wikipedia・Double Dragon Wiki(Fandom)・arcade-history.com・arcade-museum.comなど複数の公的ソースで確認した基本情報は以下の通りです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイトル | ダブルドラゴンII ザ・リベンジ(DOUBLE DRAGON II: THE REVENGE) |
| ジャンル | ベルトスクロールアクション |
| 稼働開始 | 1988年(北米:1988年11月、日本:1988年12月) |
| 開発・発売 | テクノスジャパン |
| プレイ人数 | 1〜2人同時プレイ |
| 基板 | 前作『ダブルドラゴン』の流用 |
| 操作系 | 8方向ジョイスティック、3ボタン(左攻撃・右攻撃・ジャンプ) |
| 主CPU | HD6309(3.579545MHz)、Zilog Z80(4MHz) |
なお日本語版Wikipediaはアーケード版を「1989年発売」と記載していますが、英語版Wikipedia・Double Dragon Wiki(Fandom)・arcade-history.com・IMDbなど複数の国際的な記録では「1988年稼働(北米:1988年11月、日本:1988年12月)」と明記されており、本記事は複数の一次資料に基づき1988年稼働として記載しています。
本作はもともと前作のアップグレードキットとして開発が始まりましたが、メモリ容量の増大に伴いスタンドアローンの独立したゲームへと発展した経緯があります(英語版Wikipedia記述より)。その経緯から前作の基板を流用しており、グラフィックリソースの一部も再利用されています。
第2章|ストーリー|マリアンの死という衝撃の幕開け
英語版Wikipedia・ニコニコ大百科・StrategyWikiなど複数のソースで確認できるアーケード版のストーリーは以下の通りです。
前作でビリー・リーが命がけで救出した恋人マリアン。しかし前作での敗北に怒り心頭のブラック・ウォリアーズ首領ウィリーは、報復としてマリアンを銃撃し殺害します。この衝撃的な冒頭シーンからゲームは幕を開けます。
マリアンを失ったビリーとジミーの兄弟は、深い悲しみと怒りの中で復讐を誓い、ウィリー率いるブラック・ウォリアーズとの決戦へと向かいます。
アーケード版のエンディングは「ビタースウィート(苦くも甘い)」な結末です。リー兄弟はウィリーを倒すことに成功しますが、死んだマリアンは戻ってきません。ウィリー撃破の後、兄弟は自身の「負の心の幻影(ドッペルゲンガー)」と対峙することになり、それを乗り越えて物語は幕を閉じます。悲しみを抱えたまま戦いを終えるという、当時のゲームとしては異例の余韻を残すエンディングです。
なお、ファミコン版ではストーリーが大きく変更されており、マリアンが生き返るハッピーエンドとなっています。アーケード版とファミコン版は別物といえるほど内容が異なっています。
第3章|アーケード版のゲームシステム|前作から刷新された操作体系
左右攻撃ボタン+ジャンプボタンの新操作系
本作の最も大きなシステム変更は操作体系です。前作はパンチとキックの2ボタンシステムでしたが、本作では「左攻撃ボタン・右攻撃ボタン・ジャンプボタン」という3ボタン構成に変更されました。
Weblio辞書(Wikipedia転載)によれば「攻撃操作は前作と異なり、左右攻撃ボタンとその中央にジャンプボタンを配しているシステムで、アーケード版『熱血硬派くにおくん』に近い物になっている」と評されています。このシステムでは、向いている方向によって同じボタンを押しても出る攻撃が変化します。前方に向いているときと後方に向いているときで攻撃の種類が切り替わる設計は、後ろ向きの敵への攻撃に特別な意味を持たせる仕掛けとなっています。
肘打ちの弱体化と後ろ蹴りの強化
前作で圧倒的な強さを誇ったひじ打ちは、本作では大幅に弱体化しました。Weblio辞書(Wikipedia転載)によれば「よほど接近して出さない限り敵がしゃがんで避けてしまうようになった上に、肘打ちを使う雑魚キャラクターまで存在する」とのことで、前作のワンパターン攻略が通用しない設計に変更されています。
代わりに強力になったのが後ろ蹴りとソバットに相当する飛び後ろ回し蹴りです。向きを利用した多彩な攻撃を駆使することが、本作攻略の鍵となります。
ダメージバランスの見直し
ウィリーのマシンガンによる即死判定が廃止され、ダメージバランス全体が見直されました。その代わりに2面ボスのアボレと3面ボスのチン・タイメイが非常に強力であり、従来の雑魚キャラクターだったローパーの後ろ蹴りも侮れない強さとなっています(Weblio辞書より)。
第4章|全4ミッションの構成とボスキャラクター
アーケード版は全4ミッション構成です(ファミコン版の9ステージとは大きく異なります)。
ミッション1|軍用ヘリポート
Hardcore Gaming 101の解説によれば、第1ステージは軍用ヘリポートが舞台です。
ボス:ブルノフ(Burnov) 金属製のマスクで顔を隠した巨漢のレスラー。プレイヤーを掴んで顔面に連打を浴びせる強力なボスです。倒すと断末魔の叫びを上げながら服だけを残して消滅するという印象的な演出があります。後のステージでは再出現し、一度倒しても蘇生するというしつこさも見せます(arcade-history.comより)。
ミッション2
ボス:アボレ(Abore) ターミネーターを思わせるサングラスをかけた巨漢で、一撃で大きなダメージを与えるスラップと体当たりが脅威です(StrategyWiki・arcade-history.comより)。
ミッション3
ボス:チン・タイメイ(Chin Taimei) 一対のカリ・スティック(短い棒)を武器とするアジア系格闘家です。スティックによるコンボ攻撃が非常に強力で、エネルギーを大きく削られます(StrategyWiki・英語版Wikipediaより)。なお彼はファミコン版第1作のオリジナルキャラクターであり、本作のアーケード版で初めてアーケードゲームに登場したキャラクターでもあります。
ミッション4|最終決戦
中ボス:ブルノフ・アボレ・チンのクローン TV Tropesの記述によれば、ミッション4では過去3体のボスのクローンが立て続けに登場するというボスラッシュが展開されます。
ボス:ウィリー(Willy) マシンガンを手にしたブラック・ウォリアーズの首領。前作と同じ武器を持ちますが、本作では射撃が即死ではなくなっています(arcade-history.comより)。
最終ボス:ドッペルゲンガー(Doppelganger) ウィリーを倒した後に現れる、プレイヤーキャラクターの邪悪な分身です。プレイヤーと同じすべての技を使いこなす上、エネルギービームを投射したりプレイヤーに憑依してダメージを与えたりという特殊能力を持ちます(英語版Wikipedia・arcade-history.comより)。自身の「負の心の幻影」との戦いというゲームのテーマを体現したラスボスです。
第5章|登場する雑魚キャラクター
StrategyWiki・英語版Wikipediaで確認できる主な雑魚キャラクターは以下の通りです。
ウィリアムス(Williams):白いタンクトップを着た敵で、ショベルやナイフを武器に使います。シリーズを通じて登場する定番の雑魚で、本作ではカートホイールと走り込みができる敏捷な動きが特徴です。
ローパー(Roper):ウィリアムスに近い雑魚で、後ろ蹴りが非常に強力になっています。
リンダ(Linda):鎖鉄球とグレネード・ナイフを武器に使う女性の敵キャラクター。本作ではモヒカン頭のデザインに変更されています(Weblio辞書・英語版Wikipedia記述より)。
オハラ(Oharra):前作のアボボに相当する位置づけのスキンヘッドの強敵。
ボロ(Bolo):オハラの頭違いで、長髪と顎ひげが特徴。
ジェフ(Jeff):リー兄弟と瓜二つの外見の敵で、グレネードを使います。
第6章|キャラクターデザインの変更点|ジミーが白づくめに
シリーズWikipedia(Weblio辞書転載)で確認されている通り、本作ではジミー・リー(2P)の衣装が白づくめに変更されています(ファミコン版とPCエンジン版ではベストとズボンが赤色に戻っています)。前作では赤い服を着た茶髪の青年だったジミーが、本作アーケード版では白一色のコスチュームとなったのです。またリンダのヘアスタイルが前作の通常スタイルからモヒカン頭に変更されたのも本作からです。
前作の基板流用という制約のもと、キャラクターデザインの変更は主に「顔グラフィックと色の変更程度」に留まっています(Weblio辞書より)。それでも各キャラクターの印象は前作から刷新されており、よりダークでディストピア的な世界観を演出しています。
第7章|各プラットフォームへの展開
ファミコン版(1989年12月22日)
ファミコン版は英語版Wikipediaによれば「テクノスジャパンがアーケード版とほぼ同時期に制作」した、内容が大幅に異なる別バージョンです。全9ミッション構成(アーケード版は全4ミッション)、ステージ間のビジュアルデモ、2人同時プレイへの対応(前作ファミコン版での最大の不満点を解消)、ハッピーエンドなど、アーケード版とは「ほぼ別ゲーム」ともいえる内容となっています。
メガドライブ版(1991年12月20日)
アーケード版を忠実に移植したバージョンで、日本ではパルソフトが発売しました(Wikipedia・Weblio辞書より)。
PCエンジン版(1993年3月12日)
ファミコン版を移植したバージョンで、日本ではナグザットが発売。音声付きのビジュアルデモが付加されています(Wikipedia・Weblio辞書より)。
アーケードアーカイブス版(PS4:2016年2月26日、Nintendo Switch:2018年12月6日)
ハムスター社のアーケードアーカイブスシリーズを通じてPS4・Nintendo Switchでアーケード版が配信されており、現代のプレイヤーも原作を楽しめる環境が整っています。
第8章|前作との比較と歴史的評価
前作『ダブルドラゴン』(1987年)が「ベルトスクロールアクションというジャンルを確立した」作品であるとすれば、本作は「そのジャンルをより洗練させ、難易度と物語性を高めた」作品として位置づけられます。
操作体系の刷新・ダークなストーリー展開・ドッペルゲンガーという哲学的な最終ボス・アーケード版でのビタースウィートなエンディングと、ゲームとしての進化と物語的な深みを両立させようとした意欲が随所に感じられます。
PlayStation公式ブログに掲載されたアーケードアーカイブス配信時の開発者コメント(2016年2月26日付)では、「『ダブルドラゴン』のスタッフとは違って3人とも新人でしたが、ノリのいいスタッフで前向きに仕事ができました。みんなオタクです。キャラを書いた人は元アニメの作画監督で、アニメーションは会社でNo.1でした。ブルノフなどのデザインも手がけています」という開発陣の証言が残されており、少数の新人スタッフによる情熱的な制作の一端がうかがえます。
まとめ|復讐と悲しみが宿る、シリーズ進化の一本
『ダブルドラゴンII ザ・リベンジ』は、1988年にテクノスジャパンが開発・発売したアーケード用ベルトスクロールアクションゲームです(北米:1988年11月、日本:1988年12月)。前作のアップグレードキットとして開発が始まりながらスタンドアローン作品へと発展した本作は、マリアンの死という衝撃のオープニング・左右攻撃ボタンへの操作系刷新・全4ミッションにわたる強力なボス陣・そして自身のドッペルゲンガーとの最終決戦という、前作を大きく超える密度と物語性を持っています。
現在はアーケードアーカイブスでPS4・Nintendo Switch向けに配信されており、当時の雰囲気そのままに体験できます。前作をプレイしたことのある方はもちろん、ベルトスクロールアクションの原点を探るゲーム史ファンにとっても、ぜひ遊んでいただきたい一本です。
本記事に記載の稼働年・ゲームシステム・キャラクター・移植版情報は、英語版Wikipedia(Double Dragon II: The Revenge)、Double Dragon Wiki(Fandom)、StrategyWiki、arcade-history.com、arcade-museum.com、Hardcore Gaming 101、Weblio辞書(ダブルドラゴンシリーズの項目・Wikipedia転載)、PlayStation公式ブログ(アーケードアーカイブス配信記事 2016年2月26日)、任天堂公式マイニンテンドーストアに基づいております。
(出典 Youtube)
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